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「なぜ、僕はここにいるのか?」ヨッシー《前半》

サイエンズアカデミー生にインタビュー

昨年スタートしたサイエンズアカデミー(それ以前は、サイエンズ留学生制度があった)。現在12名の若者たちがアズワン鈴鹿コミュニティを舞台にしてサイエンズを学んでいる。
彼らは何にひかれてここにいるのだろうか。何を求めて…?
今年3月にアカデミーを出発し、現在、鈴鹿コミュニティで生活しているヨッシーこと吉岡翔一朗さん(29歳)に、そんな問いを投げかけてみた。
心の底で求めているもの、そこを探っていけたら、他の若者たちにも響くものがあるんじゃないか、そんな思いでインタビューしてみた。(アズワンネットワーク活動事務局・IWATA)



今年3月にアカデミーを出発して鈴鹿に暮らしている吉岡さんと里美さんのカップル

◆トランジションタウン活動の仲間達と

――鈴鹿に来る前は何をしてたの?

ヨッシー 浜松でトランジションタウンというコミュニティ活動をしてた。
トランジション活動で収入が得られるように試行錯誤してて、だんだんアルバイトしなくても、生計が立つようになってきてた。順調な時に鈴鹿に来た。よく捨ててきたなって思う(笑)。

――トランジションタウン活動で何をしようとしてたの?

ヨッシー トランジションタウンは持続可能な社会を目指していて、そこに共鳴する人が集まってた。
僕は、社会問題に関心があった。人のつながりが失われているとか、貧困・格差・心の問題…とか、あらゆる社会問題が各分野で起きてる。食の問題に関心がある人もいたし、僕はエネルギー問題に関心があった。
でも問題の根元は一緒じゃないかって思ってた。それぞれの関心は違ったけどトランジションタウンという中でみんなが集まってたかな。人とつながっていくことを大事にしてた。
一時期はメンバーが増えたり、イベントにすごく人が来るようになったりして、一見順調に見えてた。

◆どうしてギクシャクするのか

――軌道に乗りつつあるときに、何で鈴鹿に来たの?

ヨッシー お金の面を見たら順調たっだ。焼肉も食べに行ってたし。(笑)
結局、幸せなのかっていうのを考えると…。その時、僕は里美さんと二人暮らしで、それ以外にコミュニティもあって、日常を共にする人たちがいた。だけど、そこでの人間関係がギクシャクしてるのをみて…
僕と里美さんも家で言い合いになったり…。里美さんとRさんとが一緒のコミュニティカフェをやってて、そこでギクシャクして家に帰ってくるから、家でもちょっとしたことでイライラした。楽しいときもあるけどね。Rさん、里美さんは、同じトランジションタウンの仲間。

――どうしてギクシャクするの?

ヨッシー 中心でやってる人がギクシャクしてた。お互いのやり方がちがうとか…、中心メンバーのグループがあって僕もその中にいた。そのときに自分以外の5人が積極的ではないって見えた。何でこんなに受け身なんだって。
でも、他の5人は僕より年上で、僕より長く活動してる先輩で、言えないんだよね。思ってることが。言っちゃいけないっていうか。
だから、遠回しに言おうとしたり…。すごくイライラした。
だんだんその集まりも面白くなくなっていくし、疲れるし… 惰性で一か月に1回集まってた。 
そのときはじめて人間関係で疲れたなって思った。

でもみんな人柄はよくって、楽しくやっていこうよ、一緒にやっていこうよっていう人たちが集まってた。だけど、何で、こんなにうまくいかないのかなって思ってた。
今から振り返ってみて、みんなに対して自分が怒ってる。「何でやらないんだ」って責めてる感じがあったかな。
そういうのがあって、お互い疲れ合うことしててもな、意味あるかなって、諦めかけてたのもある。

もっと可能性があるのを探してて、NVCやコーチングにも目を向けてみた。鈴鹿のことも知ってて、「持続可能な社会づくりカレッジ」というのに誘われて、一回行ってみた。
そこで、鈴鹿の取り組みが、根本的なところからやろうとしてるのかなって直観的に思った。根本的にいきたいって思った、そこに可能性を感じた。

◆持続可能な人間関係がある?

――参加してそう思った?

ヨッシー そうだね。
「持続可能な人間関係」っていう観点っていうのは他になかったから。
持続可能なエネルギーとか、持続可能な農業とか、そういうのは関心があったけど、人間関係なーー?っていうか、人間にもそういうのがあるのかな・・って思った。

そういう自分の事例もあったし、他でも人との人間関係のいざこざで活動をやめたり止まったりというのをよく見てて、活動だけ進めようとしても、止まったりして、続いてないなっていうのを思ってた。

――そこで、ヨッシーが根本からやりたいと思ったのは何で?
他の5人は、どんな感じだった?

ヨッシー その5人の立場からしたら、どうだったんかな……? 人間問題で行き詰ってる感じじゃなかったんかな。
そのときは、ぼくだけが、人間関係が問題じゃないかって思ってた。他の人たちは、やり方とか進め方が問題だとか、たまたま運が悪かったとか…

――それぞれの問題の捉え方が違ってたってことか?

ヨッシー 人間関係で、内面じゃないかって、そのときは僕一人だけ言ってた。
でも、人間関係で活動が止まったりしてるのを見てて思って、人間関係というよりか内面なのかな。
他の人たちはやり方を考えていけばもっとよくなるよとか、「なるようになるよ」っていうポジティブ思考で、「流れだよ」みたいに言ってた。僕は「そんなわけないだろう」って。(笑)

◆根本的に解消していく道を
――なぜ、鈴鹿にサイエンズ留学したのか、何を自分がしたくて、ここにやってきたの?

ヨッシー 留学する前にカレッジに行った。それに行く前に内面のことが重要じゃないかって思ってた。
自分もイライラするのも何だろうって目が向き始めてた。
中心の人たちが受け身なのはよくないって、感情が出てきているじゃないか、他の人も対立的になるときは、その人の中に、しなければならない、してはいけない、っていう固いものがあって、それが出て来て、人間関係がギクシャクするんじゃないかなって、なんとなく思ってた。

カレッジとアズワンセミナーも行ったんだけど、ここの鈴鹿でやってるのが、そういう固定観念に気づいて、根本的に解消していくのをやろうとしているのかなって、すごく可能性を感じた。そのときは、自分自身の中にある、固定観念を解消していきたいし、その術を学んでみたかった。そういう人間関係が増えていけばいくほど、活動の稔りも豊かになっていくのではないか。根っことか土台になる部分が重要じゃないかなって思ってた。

――留学して、根本をやっていくのが大事だと思ったんだね?

ヨッシー 浜松の前は、栃木で非電化工房にいた。自給自足に関心があった。でも、違うなって思ったら、すぐやめた。
方法というより……、何を求めてるんだろうね?
学歴も捨てたしね。短大卒の資格は持ってるけど、就職もしてなかった。
けっこう潔く捨ててくる。お金も、学歴も、仕事も捨ててきて、知らない地域に飛び込むみたいなこと、今までやってきた。
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――ヨッシーが求めてるものは何だろう? 鈴鹿では、手ごたえがある?

ヨッシー そうだね。
「本当に求めてるものは何だろう」って、そこにフォーカス出来るのっていいなって思う。
たとえば、浜松では、新しい人が増えたり、人とのつながりが増えたりすると、「いいね!」みたいな感じとか、収入がともなってくると、「順調じゃん」とか、「もっとよくしていこう」とか、そういう方向に目が奪われたりした。意識が向いたなって思う。
でも、一時的に楽しいことはあったりするけど、本当に楽しいとか、安心しているかっていうと、そういうかんじではない。
身近な人どうしがギクシャクしたり、満たし合うんじゃなくって、すり減り合う感じになってたり…。

今、鈴鹿にいて、いいなって思うのは、「本当はどうなんだろう」ってとこに焦点を当てていけるってこと。

――アカデミーを出発しても、鈴鹿を捨てることは出来たと思うけど、ここでやろうと思ったのは何で?

ヨッシー 他のとこでもよかったような気もするけど……
本当の方に焦点を当てていくっていうか、サイエンズメソッドって、本当のものを知っていこうとするメソッドかなって思う。そういうことが思う存分出来る。そこで、見出して、実験も出来るし、そういうのを知っていこうという人がいるっていうのがすごく面白いって思う。
自分も実験したいし、自分も実験で使ってみたいし… そこが思う存分やれるっていうのが大きいな。家庭ででも職場でも、本当のものは何なんだろうって見出そうとする。
実際に現そうとする、生活すべての場において出来るっていうのが僕は魅力的だなって思う。

(つづく)

インタビュー後半は、ヨッシーが今の暮らしの中で、実際どんなふうに「本当のもの」を知ろうと、やっているのかを聞いてみた。
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