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【次の社会創造】 連載第四回  争いのない、気持のままにやさしく生きられる社会へ

次の社会創造 連載第4回
【争いのない、気持のままにやさしく生きられる社会へ】
サイエンズ研究所  小野雅司
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第1章 

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連載第四回
7 .実現の方法~縛り合いのない、誰もが人間らしく生きられる方式

アズワン鈴鹿コミュニティを創るプロセスの中で、様々な人間問題が浮かび上がってきたことを先に書きました。思い込みやキメつけから話し合えなくなり、縛り合う現状に直面したのです。
 
いろいろな本でも、思い込みやキメつけが、怒りや悪感情や対立の原因だと書かれていると思います。それを聞くと「どうやったら無くせるだろう?」と考え、「思い込みやキメつけを持たないようにしよう!」と、そうならないように意識したり、努力したり、言い聞かせようとする人が多いと思います。
  
しかし、このような思考パターンでは、一時的効果はあるかもしれませんが、根本的にはなくならないと思います。そういう経験をしている人も多いのではないでしょうか。そして「怒りや悪感情はあるのは当たり前だ!」「思い込みやキメつけは誰でもあるものさ」とあきらめてしまうのかもしれません。
  
アインシュタインの言葉に「ある問題を惹き起こしたのと同じ マインドセットのままで、 その問題を解決することはできない」とあるそうですが、まさしくこの状態です。同じマインドセットのまま「どうしたら無くなるのだろう?」と考えている訳ですから。
  
僕達もそうでした。キメつけの弊害は、昔から知っているつもりでしたし、そうならないように努力を重ねてきました。しかし、それではなくならない。
  
2001年からアズワン鈴鹿コミュニティの試みをゼロから立ち上げようと思っていても、そこを超せていない現実に直面したのでした。ここで、今までにない新しい理想の社会を創るには、今までの理論や方法や方式では実現できないということに思い至ったのです。2004年、サイエンズ研究所を立ち上げ、全く新しい地平で、すべてをゼロから見直して探究する必要を感じ、本格的に研究活動に集中していくことになりました。
  
その中で、「どうしたら?」「こうしたら?」と思考するのではなく、「どうしてだろう?」そして「どうなっているのだろう?」と、科学的に探究する道が見出されてきました。その考え方をサイエンズ(ScienZ)と名付けました。Scientific Investigation of Essential Nature(本質の科学的探究)の頭文字 Scien と Zero(零・無・空…)の Z によるものです。

物や技術では、素晴らしい能力を発揮している人間ですが、人間や社会ではその能力を発揮できていない訳が見えてきます。物や自然界に対して、その理や法則性は、人間の考えで決められる訳はないですよね。物や自然界の実際を観察して、その奥にある理や法則性を見出していきます。
しかし、人間や社会については、「こういうものだ」「こうすべき」「それは良い、悪い」と人間の考えで判断している場合が実に多いのです。理や法則性を見出そうとせず、どうする、こうすると右往左往しているような状態なのだと思います。

具体的な場面でも、例えば、機械が壊れた場合だったら、「どうなっているだろう?」とよく観察してみると、不具合の原因が明らかになり、何に手を打つのか自ずと見えきますね。原因がわからないのに、「こうしたらいい」「こうすべきだ」とやっていては、ますます事態は複雑化していってしまいます。

「当然」とはどうなっているのだろう?「~すべき」とはどうなっているのだろう?と探っていくと、そのメカニズムが見えてくるのです。どうしてそのようなメカニズムが形成されてきたのか? どこに、自他を縛るキメつけ状態があるのか? それがどのように作用しているのか?等が、自ら把握できるようになるのです。「当然」としていたことが、実は根拠のない思い込み、キメつけだったことが、手に取るように見えてくるのです。「怒り」「悩み」「対立」なども、そのように探って、そのメカニズムが見えてくると、自然と解消の方向に進んでいけるのです。

つまり、対立感情や悪感情などがなぜ起きるのかを探究していくと、「強制 束縛などによる心理的圧迫」とそれに対する「自己防衛」から形成される「自分の考えへの執着」がその原因であることが見えてくるのです。「自分の考えへの執着」とは「~ねばならない」という「キメつけ」状態のことです。そして、それを解消していける方法を開発しました。
それをサイエンズメソッドと名付けました。

  
例えば、コミュニティで、「それは大変な問題だ!」と思うことが起きたとします。するとすぐに「なんとか解決しなければ」「どうすればいいのだろう?」と考え行動する場合が多いのではないでしょうか?しかし、この場合でも、「問題」としているのは、「何を問題としているのだろう?」「実際には何が起きているのだろう?」「そう捉えている自分の内面・感情はどうなっているのだろう?」「本当はどうしたいのだろう?」「どうありたいのだろう?」と観察・探究していくと、何がどうなっているのかが見えてきて、原因も明らかになり、心底の願いも見え、自ずと不調和が解消されていく道筋が見えてくるのです。
 
サイエンズという考え方を元に、「人間を知る」に始まり、人間らしく生きられる「社会実現」までの一貫した方式のことを"サイエンズメソッド"と呼んでいます。
「人間の考えであることの自覚」・・・「キメつけ」(~ねばならない)に気づく
「事実・実際はどうか」・・・・実際の世界に目を向ける
「本来・本質・本当はどうか」・・・自然界の理を知る。人間の心底の願いを知る。人間らしい姿を知る。
という過程を経て、
「理想を実現する」という方式です。・・・・自然界の理にかなった社会=争いのない、誰もが親しい、本心で生きる社会を実現する
  
このように書くと難しそうに感じるかもしれないですね。
でも、実は、人間らしく生きるのが一番楽で簡単だと思います。
人間を知っていくと、人間らしさを邪魔している要素が次々と見えてきます。それを取り除いていくと、人間らしい姿が自ずと見えてくると思います。
自然界の鳥や蝶や動物達は、そのものらしくなろうと努力しなくても、そのものらしく生きていますよね!人間は人間の考えで、「こうしなければいけない」「これをしてはいけない」と自分自身を縛り付けて、人間らしさを損なってしまっているようです。自分自身を縛りつけている「人間の考え=フィクション」を自覚して、取り除くことにより、人間も、元々ある人間らしい姿に立ち還れるのです。
  
このメソッドは、アズワン鈴鹿コミュニティだけではなく、誰でも、また、あらゆる所で適用できます。日本だけではなく、韓国・ブラジル・スイスなどでも、多くの人が学び、良好な人間関係、コミュニティづくりや会社運営、シェハウスの運営、子育てなどの場面でも活用しています。
  
このメソッドが使われている現場を一度見てほしいと思います。人がその人らしく生きている姿は、とても楽でシンプルで簡単で、気持のいいものです。
そして、このメッソドを活用したい人がいたら、ぜひ使ってほしいと願っています。
  
「どうする?」「こうする?」という、やること重視の思考パターンから、「どうなっているのだろう?」「本当はどうしたいのだろう?」と探究していく頭への切り替えを、「人知革命」と表現しています。
サイエンズメソッドについて詳しく知りたい人は、アズワンセミナーという機会がありますのでぜひ参加してみて下さい。また、サイエンズ研究所からサイエンズについて解説した本が出版されています。

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8.21世紀の禅!? ~サイエンズメソッドによるミーティングの醍醐味
サイエンズメソッドによるミーティングでは、何でも言える、何を言ってもいいし、言わなくてもいい、そういう安心の空気がとても大事にされています。
何かを言って、攻撃されたり、責められたりしては、本当に思ったことは言えなくなってしまいますね。
安心の空気の中で、ぶっちゃけの本音が軽く出し合われ、みんなの中で、各自が自分自身の内面を観察して、「自分の考えへの執着」、つまり「~ねばならない」という「キメつけ」状態に楽しく気づいていける方式です。
また、本音の奥にある本心、そして心底で願っていることが、人に聴いてもらったり、自分で自分に問いかける中で、ハッキリと見えてくるようになります。

対立も悪感情もない中での話し合いは、様々な角度・視点での検討・探究の場になっていきます。
和気あいあいとした雰囲気の中で、より親密になり、知恵もめぐり、あたかも、一つの心、一つの知恵で考え合うような場になっていきます。
そのような場になると、心も満たされ、参加者同士がより一層近しく親しくなり、思いもかけない素晴らしい発想が生まれてくるのです。
宇宙自然界の理にかなう知恵の使い方とでも言いましょうか、つまり、全てはつながり、単独で存在するものはなく、全ては常に変化しているという姿に近い知恵の使い方になっていくのです。

一人ひとりの努力ではなく、みんなの心と知恵が一つになって、みんなで悟っていく方式です。
また、特に秀でた能力の人でなくても、みんなと溶け合って探究することで、一人ではとても到達できないような世界を垣間見ることのできる方式でもあります。

サイエンズメソッドを体験した人(この本の後半の対談や論考で登場する三木卓さんです)が、「21世紀の禅だ」と表現したように、皆の中で各自が目覚める機会なのです。

三木さんの体験によるサイエンズメソッドの考察を紹介してみましょう。
「社会的フィクションによって自縄自縛になっているという自分の姿が見えた時、人は自由になっているのではないでしょうか。
自らの生まれてきたままの自然状態を再び発見しているのではないでしょうか。

サイエンズメソッドは、一連の問いかけを、グループで自由にオープンに探究していく中で、この自縄自縛になっている自分の姿に気づいていく探究プロセスです。

問答によって悟りに至る道を開発してきた禅にならって、ぼくがサイエンズメソッドを21世紀の禅と呼ぶ所以です。」
「サイエンズメソッドが21世紀の禅だと僕が言ってるのは、自分を制限しているのは思考が作り出している意識上の自分であり、それは実際の自分とは違うことを、自由な話し合いの中で自分で調べて自分で知ることができる方法だからだ。
知識として理解するのではなく自分で自分を理解する方法だからだ。」

今までの話し合いとは、まったく異なる愉しい話し合いの場です。
百聞は一見にしかず。ぜひ、ご自身で体験してみてほしいと思います。
定期的に「アズワン鈴鹿ツアー」を開催していますので、何でも心通い合う話し合いによって営まれている次の社会のモデルを見に来てくださいね。

アズワン鈴鹿ツアーについてはこちらから

(次回へ続く)
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