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【次の社会創造】 連載第10回  争いのない、気持のままにやさしく生きられる社会へ

次の社会創造 連載第10回
【争いのない、気持のままにやさしく生きられる社会へ】
サイエンズ研究所  小野雅司
次の社会創造

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連載第10回
第三章

4.「やらせる・やめさせる」のない子育ち ~その子らしく育つ

「アズワン鈴鹿コミュニティでは、子育てや教育はどうしているのですか?」という質問もよく受けます。
次代を担う子どもたちの育ちはとても大事なテーマですし、力を入れていきたいところです。
コミュニティの初期には、無認可保育園を4年ほどやっていた時期もありました。しかし、いくらやる気や意欲があっても、まだそこを「やれる人」「やれる社会」ではないことがハッキリして、人気のあった保育園を閉鎖しました。
まずは自分達大人自身が「やれる人」に育つこと、そして社会環境を創ることが先決課題だとして、それから約10年かけて、人育ち、コミュニティづくりを進めてきてきました。そして、2015年から、いよいよ「子育ち」というテーマに具体的に着手し始めました。その一端を簡単に紹介してみたいと思います。

「孤育て」→「子(Co)育て」へ
子どもたちに、その子らしく育つ環境を用意していこうと、「キンダーハウス・チェリッシュ」という“子どもの家”の試みが2015年の秋から始まりました。
子育てというと、各家族で子どもを育てるというイメージが強いかもしれません。
鈴鹿コミュニティでは、家族のような親しさの中で、コミュニティのいろいろな人が関わる中、どの子もその子らしく育つ環境を創るために、心を寄せ、知恵と力を合わせています。
(「子(Co)育て」のCoは、CommunityのCoでもあり、Co-operate(協力)のCoでもあります。)

その子らしく育つ環境づくり
今の社会では、「教育」とか「しつけ」という名目で、子供たちに「やらせたり・やめさせたり」することが多いのではないでしょうか?
自らの自由意思で動くのが動物でしょうし、人間も自分の意思を妨げられたり曲げられたりすることは最も好まないことでしょう。しかし、今の社会では、「やらなければいけない」「やってはいけない」ことがあるのを当然としています。それを守らせるために、「やらせる」「やめさせる」ことが必要だとして、責めたり、罰を与えることを当然としています。社会の秩序を守るためには、自由意思を妨げたり曲げることは仕方のないことだとしています。ここをゼロから見直さないと、本当に自由な社会は実現できないと思います。
自由意思を妨げられたり曲げられたりすることで、子ども本来の素直に成長しようとする作用が歪んだりねじれたりするのだと思います。
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アズワン鈴鹿コミュニティでは、一切の強制・束縛(やらせたり・やめさせたり)がありません。子育ちの場でもそうです。
どの子にも、すべてと調和し、健康に成長しようとする力が、元々内在していると思うのです。そこがそのまま成長していく環境を用意したいと思っています。そのためにも、叱ったり、責めたりがない、つまり「やらせる・やめさせる」が一切ない環境を用意したいのです。
大人の都合や考えを優先させない、物理的にも心理的にも圧力・圧迫のない無重力空間のような環境を用意しようとしています。しかし、いわゆる、自由放任とも違います。大人として、やってほしくないことは「やってほしくないよ」と伝えたり、こうしてほしいと思うことも、その気持を素直に伝えていき、お互いでやり取りする中で、話し合いのできる人間関係の素地を培っていきます。
意志を妨げられることが決してない環境の中で、人と共に生きる主体性、自発性を培っていきます。
“自分らしく、気持のままにやさしく生きられる人生”のベースができていく環境づくりです。

「キンダーハウス・チェリッシュ」の試み
現在、0歳~6歳までの7名の乳幼児が遊び過ごすスペースです。
家族のような親しさの中で、実の親も交えて、30人以上のおにいちゃん・おねえちゃん、お兄さん・お姉さん、お父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃんに見守られて、子どもが育っていきます。
親も子も、安心と満足が得られる環境を用意しています。チェリッシュは英語のcherish(可愛がる, 愛しむ, 愛情を持って大切に育てる)からの命名です。

子(Co)育て環境づくり①
2018年の春、お互い隣り同士1ブロック4軒の建売り住宅を入手することができました。そこに子育て真っ最中の4家族が住むことになりました。(購入するのも、大家族のような経済だからこそできました!)
公園のすぐ側の区画です。チェリッシュに子どもを送り出しているもう一軒の家も徒歩数分のところにあります。
家と家の間に塀がないので、子ども達が自由に行き来できます。
どの家も家族のような親しさの中で、どの子も我が子のように育つ環境です。
そして2018年の秋、4軒家の真ん前の家が、「学び舎」として入手することができ、更に2019年夏には学び舎の横の新築の家も子育て世代の人の住む家として入手できました。

子(Co)育て環境づくり② ~ママの日
0歳、3歳、5歳の3人姉妹を持つお母さんは、ともすると下の子の世話にかかりきりになって、上の二人の子になかなか気も手もかけられない場合があるのではないでしょうか?すると、上の子が下の子をいじめたり、ダダをこねたり・・・。そうすると「お姉ちゃんでしょ!」と思わず、お母さんは上の子を叱ってしまったり、ガマンさせたり・・・。そういう悪循環に陥るケースがありますね。一軒の家だけでその問題に対処するのは、なかなか難しいことだと思います。
そこで、「どの子も満足して暮らすには?」「お母さん自身も無理なく楽に満足して過ごせるには?」という視点で知恵を寄せ合うと、いろんな案が浮かんできます。
「一人の子とお母さんが、一日ゆったり過ごせる日があったらいいね!」というアイディアがすぐに実現に向かって動き出しました。他の姉妹は、チェリッシュやコミュニティの人でお世話するのです。
その日は、お母さんも、その子も、マンツーマンで満々足で過ごせる一日です。
今では、その日を「ママの日」と呼んでいます。
満足すると、お姉ちゃんも下の子達に自然と優しくなるようです。
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子(Co)育て環境づくり③ 
子どもの育つ環境としてお母さんの要素はとても大きいでしょう。お母さんが安心して、満たされて暮らせるということが、子どもにとって、とても大事だと思います。育児を夫婦で助け合うとか、実の親のサポートだけでは限界がありますね。
アズワン鈴鹿コミュニティでは、コミュニティスペースJOYやファミリーダイニング・ゼロがあることで、お母さん達が献立を考えたり、買い物・調理・片付けをすることから解放されるようになっています。(やりたい時はもちろんやれます!)また、職場や各種の研究会や、一週間合宿のサイエンズスクールのコースへの参加の際も、チェリッシュや学び舎でその人の子どもを見るだけにとどまらず、コミュニティ全体で、その子や家族の暮らしが安定して営めるようにサポートしてくれます。ですから、お母さんも、自分のやりたい仕事も思い切りやれ、自分の成長のための時間も十分に取れます。そして、子供といる時の時間も、心に余裕を持って子供と接することができるようになっています。子供の育ちについても、チェリッシュのスタッフと相談しながらやれるので、一人であれこれ考え悩まなくていい環境が実現してきています。
学び舎
2019年4月に一人の女の子が、翌年には二人、今年は二人の子どもが小学校に入学しました。
ホームスクール、学び舎が始まっています。フリースクールへの検討も始まっています。
その子の成長に応じて、親から少し離れてやがて学び舎で過ごす子も出てくるでしょう。
学び舎で、子どもたちで子どもたちの暮らしを創るようになっていくでしょう。
(親元を離れて、子どもたちで暮らす空間になっていく構想です)

子どもが本来的に育つことについての基礎研究も始まっています。
生まれてから、一生幸福な人生を歩める道を造る試みがスタートしています。
どんな子育ち環境が生まれてきているのか一度、実際の現場を見に来てくださいね。

子育て真っ最中のお母さんのライフスタイルを紹介するビデオができました。
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アズワンスタイル「お母さん」~ 子育て真っ只中 心から愉しんで!こちらからご覧ください。
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