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「新しい風」の年  2015年「おふくろさん弁当」

2015年もあと2週間、アズワンコミュニティのこの一年はどんなだったかな?
「争いのない幸せな世界の実現」を目指して、一つずつ、一歩ずつ、それぞれの立場で試みが展開されてきたように思います。そこで、ほんの一端ですが、「2015年を振り返って」を紹介していきます。その第1弾は、コミュニティの産業「おふくろさん弁当」です。発足当初からやってきた岸浪龍さんのレポートよりどうぞ!

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【コミュニティの中の「おふくろさん弁当」2015】

2015年のおふくろさん弁当は、新しい店舗での新しい出発となった。

2014年12月に、8年間お世話になった旧店舗から、通り沿いの大きな新店舗へ引っ越しての、初めての新年を迎えた。



思えば、8年前に「お弁当を産業にしてみてはどうだろうか?」の思いつきから、当時パソコン便利屋や、検討会の会場として活躍していた建物を、「今だったら、産業の基盤として利用したほうが活きるのではないか」と声をかけてもらい、検討会場を他に移し、「おふくろさん弁当」としてスタートをきった。


(左:一番最初、さぬき兄弟といううどん屋さんの空き時間を使わせてもらっていた
 右:その当時のお弁当一例)

  
(左:パソコン便利屋など ⇒ 右:旧店舗前)

「仕事とはこういうもの」「仕事なんだから、各自の都合より優先されるのが当たり前」という、旧来社会からの観念をそのまま持ち込んでいることにも気付かずに、「話し合えばなんとかなる」「話し合うという場(形)が大事」と思い違いをし、どれだけ話し合いを重ねても、本当に人と人の関係が家族のように境のない一つのものになっていかないのはどうしてか?と、試行錯誤からの出発だった。

あれから8年、新店舗で迎えたおせち作りと、新しい年の幕開け。

2014昆布巻き
 (2014年暮れのお節づくり風景)

今年もたくさんの人たちに関わってもらった。8年前、数人で始めたお弁当やさんは、2014年の忘年会には70人を数える人が集まった。

旧店舗では、日平均30人~40人の来店者数だったが、新店舗に移ってからは、日平均60人、70人と増えていき、2015年後半には毎日100名前後のお客さんが、お店に足を運んでくれるようになり、常連さんや、毎日通ってくれるファンの方も多くできた。


 (2014年おふくろさん弁当忘年会)

2015年、アズワンコミュニティを取り巻く環境の変化が、職場にも大きな転換期をもたらした。 今年は、全国・世界の各地からアズワンコミュニティを訪れる人が、飛躍的に増えた年となった。かつて、このアズワンコミュニティを訪れた人が、感想の中でジョンレノンの「イマジン」の一節「as one」の名にかけて「ビートルズも訪れたであろう、アズワンコミュニティ」と表現してくれたが、それが少しずつ現実のものとなってきた年でもあった。(参考→「訪問者の声」



サイエンズスクールや、サイエンズ研究所が整備され、おふくろさん弁当も積極的にそれらを利用し、「サイエンズによる運営」を、危なっかしい歩みながらも、少しずつ1歩1歩、歩みを進めてきた。その過程が、自分にとっても楽しみな毎日の連続で、失敗してはコミュニティの大きな家族に支えられ励まされ、少しずつ、人と人が話し合える関係になってきている実感と喜びもあり、正直コミュニティ外のことに関心が向くことがなかったし、この活動を高い関心を持って、見に来てくれたり、紹介してくれる人がいるとは、思いもしなかった。



「争いのない世界の実現」を願いながらも、今の社会の現状や、それを憂い、良しとしない人たちがいること、私たちがやっているこの活動の現在位置や、その重要性はよく分かっていなかったかもしれない。自画自賛したくない、現状に満足できない、願っていることはもっともっと先にあるという気持ちが、そうさせていたのかもしれない。そんな中でも、このアズワンコミュニティに移住してくる人が現れたり、「サイエンズ留学」と称し、この地へ留学へ来られる人たちが増えたりと、確実に新しい風が感じられるようになってきた。そして、移住や留学の人たちが、職場に入り共にやっていくようになった。



サイエンズを志向して来られた人たちは、このコミュニティや、職場でも芯となっている「サイエンズ」に向かう姿勢がやはり違った。中には毎月どころか、毎週のようにサイエンズスクールのコースへ参加する人もいた。

そういう人たちの真摯な姿勢と、サイエンズを少しずつ学びながら、大きく前進している様子を感じ、その空気を感じ、職場で長く携わってきたメンバーも、「私もサイエンズスクールのコースにもっと積極的に参加したい」という人が増え、今年は毎コース開催中は数人のメンバーを常時職場から送り出すような感じになってきた。

職場としては、毎週誰かを送り出している訳だから、仕事が進まなかったり、不具合がでるのかと思いきや、逆に人と人との関係や、それぞれの内面、本質的な部分が加速度的に進むことによって、仕事の質も上がり、人間関係も改善し、何でも話し合える人が増えてきたことで業務の効率化や改善、サービスの向上が顕著で、結局は経営的にも大きく進歩発展することとなりました。


 (送り出し合い、シフトに入り合いながら)

そんな様子を目の当たりにして、やはり進む方向はこっちだったと、人と人との内面的な問題が解消できれば、やれノルマだ仕事だと縛らなくても、やらせなくても、各自が持ち味を最大限発揮し、最大効率最高のパフォーマンスが発揮され、「競争」などというものを持ち込まなくても、会社は繁栄し、そこで働く人は大切に尊重され、幸せな職場での生活が次の活力を生み、家族やお客さん、周囲の人へもその温かさで包み込み、誰からも愛され迎えられる人へ、会社へ、お弁当やさんへと、繁栄発展してやまない、そんな会社の方向性が、実感を伴って描けたそんな一年でした。

撮影
 (自前でチラシの写真撮影)

まだまだ、一人一人も会社もこれからで、至らないところだらけで、腹をたてたり引っかかったりすることも多いのだけれど、それでも「ホンモノ」を目指して、共にやっていこうとする人たちと、会社が倒産しても離れることのない、心の手をしっかりと握った人たちと、1歩ずつ進んでいけたらと思う。

2015年が「新しい風」の年だとすれば、2016年はどんな年になるだろうか。

来年はもっとたくさんの人が、このコミュニティやおふくろさん弁当を訪れるだろう。
だからこそ、地に足をつけ、他からの評価や、建物や活動といった目に見える部分ではなく、目には見えなくとも、その人と人の関係や、その元にある「心の状態」に焦点を当てていくことだと思う。

コミュニティの産業や、活動はそれ自体が「サイエンズ」ではない。そこで活動する人が「サイエンズ」の人かどうか、これからはそれが問われてくるのだろう。

2016年の5月には、おふくろさん弁当は9周年。10年目の年を迎える。

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