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ドイツ サステナを学ぶ旅(3)ツイーベンリンデンへ



『イマジン』でアズワンを共有 Hiroko Katayama




エクハルト・ハーン博士に初めて出会ったのは、KIESSの内藤先生と2003年に神戸大学で基調講演をされた直後からのものですが、特にここ10年はほぼ毎年来日して、アズワンのコミュニティづくりにアドバイスをいただいたり、ドイツのエコ・ビレッジの現われを紹介をしてもらってきました。
昨年はGEN-Japanの立ち上げに協力していただき、日本国内18会場、京都大学、名古屋大学、九州大学や、明治学院大学、日本大学、東京都内でBIOCITYのご縁で糸長先生をはじめとする環境都市設計の皆さんから、奈良や各地の市民の方々まででほぼ1000人近い方々に講演をしていただきました。
ちょっとやりすぎかな、とさすがに心配になっていたら、僕は持続可能な社会づくりに生涯かけているから、むしろ嬉しいくらいだ、と笑っておっしゃってくださいましたが、相当お疲れになったことだと思います(反省)



今回は、ハーンさんの研究しているドイツでの取り組みや、新たなプロジェクトの見学をさせてもらえることになって、生まれて初めての旅で、なれないことも多かった中で、本当に大事にしていただきました。やっと辿り着いたドイツ、そしてエコビレッジで出会った人たちは、初めてあったような気のしない、懐かしい人たち、そして美しい風土の中に展開されてました。
9月3日、ツイーベンリンデンにて。ちょうど日曜日のこの日は、午後から120人くらいの家族連れの見学者が来ていて、村全体のツアー、手作りケーキとコーヒーを楽しみつつ、馬を使った農耕や様々なワークショップに参加していました。私たちも、いろいろなケーキの中から、おいしそうなものを選んでいただきました。



夜はパブリックスペースでの講座で、コミュニティの有志と話し合いました。お互いに新たな社会実験としてのコミュニティづくりということで、日本に行ったことが無い人がほとんどという中で、一つの世界をどう実現できるのか、アズワンという名称が、ジョンレノンのイマジンの歌詞
「The world will be as one]
から来ているということで、すっと共通な理解が進むのは面白いことでした。自分たちがタダ満足するために特殊な社会をつくろうというところに留まらない、そんなお互いの願いを確認し合って、アズワンの紹介をしました。みなさんの関心が集まったのは、特に鈴鹿市内の街の人たちに溶け込みながら、自分たちでおふくろさん弁当などの産業を起こしている点と、お金を得てサービスを提供するときに、その制約の中で協力して仕事をする難しさを感じているということ。さらに、その得た費用の運用をどう話し合っていけるのか、ということでした。



ツイーベンリンデンのコミュニティ経済のパブリックなところ以外では、たとえば、畑チームやケーキ作りのチームなど、コミュニティメンバーの中でもチームごとに収入を得ながらそれぞれの家計に充てているということでした。こういうシステムもあるんだなと興味深く、翌朝から午後にかけて周囲を回りながら、また新たな観点で眺めることができました。

GEN-ヨーロッパの人から話をうかがって、ツイーベンリンデンに限らず、コミュニティを作り、立ち上げた当初は、コミュニティマインドであり、かつ主体性を持って協力し合う気風が普通なケースが多いが、時間が経つうちに、ともに理解し合うということを抜きに、他の人を管理することや、逆に追及したり、自分をまず主張したいという空気が出て、少数でも声が大きいために気風があれることもあるそう。気持ちのやさしい人は一緒に話し合うことが苦痛になるケースが増えるなど、これはよくありがちな課題だねと話し合いました。そしてここでもこれから解決していきたいと検討しているということで、私も改めて、人や社会の研究がなぜ大事なのか思い至りました。



一つの世界ということは、決して一つにまとまって同じものになることではなく、宇宙や自然界を観察すれば見えてくるように、Dinamic Balanceというか、停滞しているものは一つもなく、常に動きのある中でバランスを保っているわけですが、人間もその一部であるので、そのような存在として、ではどんな社会をつくれば本質にたがわないものになっていけるのでしょう。

GEN-Japanのガイアエデュケーションのメインの課題を、持続可能な人間関係づくりということ、本心を理解しあえることに重点を置いたベースづくりにしているのですが、あらためてそのベースを抜きに、新しい社会への試みはあり得ないなと感じました。

サステナの旅(4)「ルター500年祭」へつづく

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