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ドイツ サステナを学ぶ旅(6)庭園型エコビレッジ



産業革命後、世界初のエコビレッジ Hiroko Katayama




デッサウ ヴェルリッツのとっても大きな庭園、あるいは王国エコビレッジ

ヴィッテンベルグから車で少し走って、エルベ川を渡った。川幅は50メートル程度だろうか、私たちの他にもう一台の車で動き出したが、あと一台でちょうどいっぱいになる程度のいわゆる木造フェリー。豊かな水の上をのんびりと渡る。すぐに対岸に着いちゃいますが、なにやら楽しかったな。

しばらく行くと、およそ150平方キロメートルにわたって広がった、18世紀に創られたイギリス庭園式の王国、というか、長靴をはいた猫式に言えば、公爵様というか。ドイツにはそのような諸侯がたくさんいて、それぞれ独自の治世を行っていたそうだ。
Hahn博士の説明と、後で読んだパンフレットの説明によると、その公爵が、自分の領地の一部、このエルベ川沿いの土地全体を、領民の教育のために、住まいも全部オープンにして、美しい庭園型の村、というかHahn博士は、これを世界初のエコビレッジと呼ぶのですがーーーをつくったもの。



雨が降り出した中、飛行機の手荷物がまだ届いていなくて不便をしている私を庇って傘を貸して下さり、Hahn博士も荒田さんも、降り出す雨をものともせず、ひたすら歩きます。ほんとに広かったね。
途中には、写真のような小さな船があって、おーい、と対岸に向けて3人で声を合わせて叫ぶと、カッパを着込んだおばさんが、ひもをくりくりまわしながら、船を寄せてくれて、また逆に紐を手繰りながら亘っていくという、のどかな庭園でした。





以下、Hahn博士の説明によりますと、
デッセウ侯フランツは、当時イギリスで起きた産業革命の様子を直接見聞し、当時のイギリスの庶民の窮状に触れて、産業革命の後追いはやめようとした。土にねざした農業に基盤を置きながら、どの人々にも読み書きや学びの機会が得られ、心がやさしく満たされていくことが大事ではないかと考えた。自分の領地に暮らす農民に学びの機会と美しい風景によって心を涵養できるようにしたいと考えてつくられたもの。自分の出来る範囲で集めた世界の美術工芸品を様々な建物の中に展示し、見て学べるようになっている。





こうした小さな地域の独自性を守りつつ、多様に生き合える、そして調和していけるような社会構造、そんなことができないだろうか、とHahn博士。大きく話し合いで決まったことを、決まったことだからといって、各地に押し付けていくようなことでは、無理があるなあ等など。

そうこうしながら歩き回るうちに雨も上がり、荒田さんの洋服も乾いていて、やれやれと、またあのフェリーに乗ってベルリンへの帰路につきました。



サステナの旅(7)「ベルリンで日本のエコビレッジ」へつづく

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