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本当の自分をどこまで知っていますか?



Nさんの変化

「自分のことをどれくらい知っていますか?」
10月度アズワンセミナーの開講式で、挨拶に来たSさんが参加者に投げかけた言葉です。
改めて聞かれると、立ち止まって考えてしまうでしょうか。
普段、思っている自分、意識に上る自分、人から思われている自分、過去の自分、潜在意識にある自分、そして未来はどうなっていくか未知の自分……。一言「自分」と言っても、様々な面が浮かびます。
その自分を自分がどんな風にとらえているのか。10月7日から開催されたアズワンセミナーに参加した一人の変化を取り上げてみました。
ダメな自分って何?

Nさんは、自分のことを「ダメなヤツ」と思っていました。理由は、仕事が長続きしない、最近4回替わった。同時に住居も。親に借金がある… 仕事を続けられない自分を責めてしまうようです。
父親との会話も、会話にならない腹立たしさがあります。Nさんが父親のことを心配して声をかけると、「お前に言われたくない」と聞きいれてくれず喧嘩になってしまう。
Nさんは、親にもっと愛してほしい、愛情を受けたい、という欲求がありました。
「私は、子どもの頃から、親の愛情を感じたことがない」と悔しい気持ちもある。

セミナーでは、「怒り」について探究する機会もあります。知識や経験を前提にしないで、そこにとらわれずに、ゼロから、実際や本来や本当を探究します(それを「サイエンズメソッド」と言います)。自分にどんなキメツケがあるのだろうか。そんな自分の内側を探究していくのですが、素直に見ていくことを妨げるものがあります。それは「警戒心」や「不安」です。恐らく、人に対して出てくるものでしょう。

自分の内面に目を配り、客観的に調べていくには、自分一人では難しい面があり、セミナーでは、参加者、スタッフみんなで、自分のことを出し合いながら探究していきます。その時に邪魔するものが「警戒心」です。

アズワンセミナーの探究会では、その「警戒心」を解いて、安心して話が出来る場に日ごとになっていきます。「何でも言える」「何でもみんなに聴いてもらえる」、そういう安心によって気持ちがほぐれ、心も解放されたお互いになっていきます。

Nさんも、そんな安心感の中で、自分のことが次第に見えていったようでした。

こんな感想を残しています。

自分の中にずっと漠然とあったものを、落ち着いた環境の中でいったん取り出してみて、こんなものを持っていたのかと改めて確認した感じ。
ずっと奥の方にしまいっぱなしにして、忘れていたものを見つけたような、こんなんあったんや、と。
出てきたものを他の人にさらして、他の人のことも聞いて、さらに整えてまた自分の中に戻していくというような作業を、安全な場所で丁寧にやったという感じ。
自分ひとりでは出来ない作業だし、安心して自分のことを出せる環境である必要もある、まとまった時間も必要だと思う。
ぜいたくな時間だったと思う。
と同時に必要な時間だったし、こういう時間を持てるような、暮らしが当たり前にできていったらいいのになと思う。


「ダメ」というメガネ

最終日、Nさんは、こんな話をしていきました。
「お父さんともっと話しをしてみようと思う。ここで感じたこと思ったことも話してみたい。自分は“ダメなやつ”をもっと追求していく」
あれほど、お父さんのことを嫌っていたNさんの気持ちは大きく変わっていました。
そして、“ダメなヤツ”という見方も。もっと“ダメなヤツ”を目指したい、と。

今の社会の常識に合わない、出来ない自分は、ダメ、と見ていた自分が、本当はどういう自分でいたいのか、自分らしい自分とはどんな自分か、キメツケやとらわれがどこにあったのか、「ダメ」のメガネが外れたように、
本来の自分がふーっと顔を出して、Nさんの顔も晴れやかになっていました。

「本当の自分をどこまで知っていますか?」

この記事の読者に聴いてみたい質問です。

※取材に協力して頂いたNさんには心から感謝いたします。(記事・いわた)
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