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お金を使わないお店は可能か?韓国でトライ

韓国からアズワンネットワーク鈴鹿コミュニティに学びに来たイム・ギョンファンさん(大学・高校の先生)が、その体験談をスンチョンという地方都市新聞に投稿し2回にわたって紹介されました。鈴鹿コミュニティの試みの一つとして、お金を払わないで日用品や食料品を持っていけるお店「JOY」があります。イムさんがそこで体験したことを元にして、自分たちの共同体でも試み始めています。
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スンチョン広場新聞 2017.11.1.

お金を払わずに物を持って行っても良い社会
鈴鹿市As one communityの実験


私たちはお金を払って物を買うことに慣れている。今の社会ではお金を払わないで物を持っていくと窃盗罪が成立する。お金を払わなくても物を持っていける社会は可能なのか。
日本の三重県鈴鹿市にあるアズワンコミュニティ(As one community)はそういう社会を夢見ていた。アズワンコミュニティは2000年に17人が集まって立ち上げた共同体で、現在までも約200人が「人のための社会」「人のための会社」「人間の本性に適った社会」とはどういうものなのかを研究し続けて実験しつつある。この共同体では「安心できる社会」を描いており、そのために、お金から自由になる社会を創ろうと試みた。アズワンコミュニティでは「財布を持って歩かなくても良い社会」を夢見ている。そのため、共同体の中にお金を払わなくても物を欲しいだけ持っていけるスペースを作った。そこを利用することで実際にアズワンコミュニティの構成員は財布を持たないで出かける時が多いらしい。それがどうやって出来るのだろう。

不可能を実験する
アズワンコミュニティメンバーが主に交流している場所であるSCS(Suzuka Culture Station)の中にはJOYというスペースがある。そこに入ると食材、お弁当、日用品、お酒、お菓子等のものが並んでいる。アズワンコミュニティの核心メンバー72人はお金を払わないで、ただで物を持っていける。そうしているうちに、わざわざ他の店に行って物を買うことが少なくなってきたらしい。
私たち家族も滞在期間中JOYから物をただで持ってくる暮らしを体験してみた。最初は中々馴染まなかった。どれくらい持って行っていいかも分からないし、誰かに私の動きが見られているような感じもした。必要な量より多めに取って家に持ってくる自分にも気づいた。妻は「牛乳やチーズは賞味期限が長く残っているものを取ったり、野菜は見た目が良くて傷のないものを持ってくるようになる」と言っていた。40年近く資本主義社会で生きてきた私たちとしては、お金を払わずに物を持ってくることが慣れないのは、ある意味当たり前だった。

利用するうちにJOYに行って物をただで持ってくることに慣れてきた。JOYから持ってくる量もだんだん減ってきた。次に行った時もその物があると思うと、そんなに欲を張ることもなくなってきたように思う。JOYの冷蔵庫が我が家の冷蔵庫のように感じ始めるようになった。「家族だったら賞味期限が短く残っている牛乳から飲み始めるのではないでしょうか」と言っていた共同体のメンバーの気持ちに似てきた。しかし、最後までJOYにあるビールは持ってこれず、スーパーで買って飲んだ。他の食材は思い切り持ってこれるのに、なぜビールは違うのかは、自分の宿題だった。

スンチョンでの実験
滞在を終えてスンチョンに戻ってきては、共有スペース(名称:「ノモ」)に「みんなの冷蔵庫」と「みんなの引き出し」を作った。「ノモ」に来る人はだれでも「みんなの冷蔵庫」と「みんなの引き出し」から食材などの物を持っていける「実験」をやってみたかったからだ。服や柿、ヨーグルト、万年筆などを寄付することはみんな気楽にするが、そこにある物を持っていくのはまだみんな遠慮するようだった。「私が持って行かなかったら他の人が使えるから、人に譲ろう」と言う人も居た。
資本主義社会で約30ヶ月を生きてきた娘のジユにもいつの間にか「物はお金を払って買うもの」という観念が出来てしまった。だからか、JOYから何かを持ってきたら、ジユは「これ、どこで買ってきたの?」と訊く。その時、滞在期間中には「これはどこかで買ったんじゃなくて、JOYから持ってきたよ」と答えた。これを聞いたジユは「JOYから持ってきたの?」ともう一回聞き直す。

イムギョンファン組合員(スンチョン新聞は協同組合形式で運営されている)

イムさんがアズワンネットワーク鈴鹿コミュニティの実験を体験して、実際暮らす中なかで、最初は常識観から抵抗があっても、やってみたらその抵抗が消えていく実感から、自分でも実現させてみたいという思いが湧いてきたのでしょうか?
鈴鹿コミュニティの試みが、「サイエンズメソッド」を使うことで、どこでもだれでもできるという実践になるかもしれません。
(翻訳 パク・ジンス・編集 MARU)


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