2013年に自分達で使いたいと思える電気をつくろうよと始めました。依存ではなく、自分達でつくる社会をエネルギーでやってみようというチャレンジです。
一口10万円を10年かけて返す仕組みで、お金で返す場合と、鳥取産の美味しい食べ物で返すという選択ができます。エネルギーの95%を依存していますが、エネルギーを地産地消すれば、食べ物もお金も地産地消できるのでは、という実験です。今5号機まであります。「市民・地域協同発電所」といって、全国に増えて来ました。2011年以降、贈り合いの社会や未来のための社会をどう作っていったらよいかと、考える人たちによって増えてきています。
お金の流れを変えるのが大事で、地元の人に貸してもらい売電収入を地域に還元しています。2号機から5号機の発電機の8割は鳥取県内から出資してもらいました。その大切な電気を地元で使ってほしい。鳥取市民電力という会社があったので、そちらに売電しています。電力会社を選べるようになりました。
◆3つのプロジェクト
コミュニティづくりをしている山口純さん。
3つのプロジェクトを紹介します。
まず大見新村プロジェクトから。
http://oomi-shinson.net/
大見村は京都市左京区大原大見町にあり、滋賀県と京都府の県境にある小さな村です。1973年の集団離村から40年、「無住集落」のままでした。2010年、元住民の子孫である有機農家の若者がたった1人で移り住みました。
今だからこそ、この村の環境で可能な、新しい暮らし方を実践したい―
その思いに触発された数人の有志をスタートに、2012年"大見新村プロジェクト"が発足しました。
「新たな大見村の再建」を大きな目標に掲げ、大見を現代の新しい村のモデルとして再生しています。
南区DIY研究室。
モノ作りを専門家にまかせるのではなく、自分達の価値観でモノを作りたい。ホントは何が自分はほしいのか分からずに手にしています。
今、D.I.Y(Do It Yourself)、自分でモノを作ることの価値が広く再認識されはじめているようです。DIYは単なる流行なのでしょうか?DIYはどういう問題に対してどういう答えを与えようとしているのか、あるいはどのようにその問題を更新しようとしているのか。南区DIY研究室では、DIYの実践を行いながらもDIYについて研究しています。
本町エスコーラの活動――自立的コミュニティ。
http://www.escola-kyoto.com/escola-index.html
本町エスコーラは、京都市東山区本町の路地裏にある8軒の空き家を改修し、コミュニティースペースと住居・アトリエ棟などとして活用する場です。工場跡地の広場を囲んで隣接しています。エスコーラとはポルトガル語で「学校」を意味しますが、公民館、児童館といったコミュニティースペースのニュアンスもあります。
本町エスコーラは、1)コミュニティー 2)建築 3)インフラ
の3つのレベルにおける「自立」によって、持続可能な社会を目指します。
課題は、ルールや責任がなくても、やっていきたいが、見た目が怪しいんで、周辺住民に誤解されやすいという面があります(笑)。
◆新しい文化の発信「PLAY ON KYOTO」
熊倉敬聡さん
23年間、大学教員をしていました。一般的に先生が1年間の授業カリキュラムを作るのですが、授業は先生だけでするものではない。学生と一緒に作るものです。シラバスを作らない授業をやってました。学生たちが自分達の授業を自分たちでつくる授業です。場所をどこでやるのか、成績評価も自分達で考えた。
7年間、大学近くに家を借りて、「三田の家」という学びの場をつくった。学生自らが授業を作る試みです。
現在は、「PLAY ON」という企画を京都でやっています。
http://release.world/playon
京都では、現代アートでもない、いわゆる工芸でもない。第3のクリエーションに出会うことが多く、これはいったい何だろう?となり、そういう人たちに、何をやっているんですか?と尋ねる企画をしました。
職人さん、和菓子屋さん、障がい者施設の経営者、現代作家さんなど。
例えば、桶職人は、桶づくりをゼロから見直すことをしているんですね。木工をゼロから見直す。桶の材料にならない廃材が使えないのか、とか。
現代美術の人では、人が集まるとはどういうことか、そこをゼロから見直している。行きついたところは火なんです。火に集まる。昔は火を囲んでいた。
また、『聖なる経済学』読書会を京都と東京でやっています。贈与経済の本。これからの経済のあり方を理論的に書いています。
もう一つは、「ヨガ・オブ・ヴォイス」を主催しています。声のヨガです。その人が出る声は5%ほどで95%は眠っているそうです。潜在する95%の声を覚醒させるヨガです。
◆「綿の学校」《esccoton》
エスコーラの佐々木さん
少年院で先生と本町エスコーラの活動と今年引退する鍛冶屋の親方から鍛冶屋を引き継いで「テツコーラ」プロジェクトを、そして、ブラジル音楽をやっています。
次のエスコーラは何か? 「綿の学校」です。路地の人たちは60代以上の高齢者が多く、その人たちと出来る活動として、綿花を通して交流していこうと。
綿花の栽培をして、種を取って、綿打ち、糸紡ぎ、機織り、最終的に衣服を作るという流れです。
課題としては、1つは、栽培場所の確保。いろんな場所に点々と栽培し、そこの人たちとも交流していきたい。2つ目は、本町エスコーラでは、おじいちゃんおばあちゃんとどうやって仲良くやっていこうかなと、綿花の工房も作る予定です。3つ目が生業として綿打ちを仕事にしたい。エスコーラも3年目を迎えて人の交流も生まれていて、綿の学校が出来ると嬉しいなあと思っています。
◆日本型「ダーチャ」のモデルケースを
らぽーむ自然農園&ダーチャ
http://farm-dacha.la-paume.com/
「らぽーむのとしちゃん」こと高草俊和さん。
ダーチャってご存知ですか?
一言で言うと「ロシアの菜園付き週末別荘」のこと。街で暮らす人たちが週末はダーチャへ移動し菜園をし自給自足している。ヨーロッパでは当たり前のライフスタイルです。普及率がすごい。荒地を与えられて、300から400軒が集まり水道がこなければ一緒に掘ったりして、みんなで作っていくのが特徴です。ソ連が崩壊したとき、街には食料がなくなったが、ダーチャがあったお陰でソ連の人たちは救われた。あまり知られていない事実です。
国民の8割は農地を持っています。ジャガイモ生産量の92%はダーチャで作られている。ロシアは広大な土地があるが、耕作放棄地がぼちぼちある日本では同じようにはいきませんが、日本型のモデルを構想中です。ダーチャコミュニティのモデルケースづくりをやってます。
3グループに分かれてテーマ別ディスカッション
「さあ!ここからが本番です」と3つのテーマに分かれて、ディスカッションタイム。時間が押していましたが、それぞれ中身の濃い話し合いになった?でしょうか。
「自分達の力で楽しく健康に生きる」サミットでは――
この場に来ていることで健康になっていると思う。朝のお散歩がいいんじゃないでしょうか。裸足で歩くとか。何か面白そうだなと、好奇心を持っていく。そんな生き方をして気持ちよく健康に生きていけば。
「やりたいことで生計を立てる」サミットは――
食べ物が自給できれば、制限や制約が外れる。周囲の理解があればやっていけるのでは。顔が見える関係性の中でモノを作っていくこと。
モノの交換だけではなく、その人の技術や気持ちも含めてのやりとりから何かが生まれていくのではないか。
「コミュニティづくり」サミットからは――
エスコーラさんの地域住民との課題で、お互いにいい関係になれるか。課題がある。その場をつくろうとする前に、対話の時間、目に見えない、形になっていない場づくりが大事だという話だった。
コミュニティを広めていく活動もあるが、それを日本に根付かせていくには公とのコラボ・連携を大切にし育てていきたい。
会の司会をつとめた「オヤジちゃん」こと大八木紘子さんと
最近、パパになった岩川さんです。
お互いの活動の様子を知り合う機会になったようです。課題やテーマをみんなで共有し、更に検討し合えたことは、活動どうしの繋がりが出来たように思います。お互いに補完し合い、それぞれが伸びていくようなつながり。まるで社会を再構築しているかのよう。人と人がつながる、その活動どうしがつながる、やがて一つ形が現れてくるかもしれませんね。持続可能な社会の形が…。
形を作る前の段階がとっても大事だ、という話がありました。
そこで醸成されていくことや、深くつながっていくことがあるような。そんな胎動が起きているはずです。
縁会はこの後、宴会へ移動。近くの居酒屋で更に盛り上がり、出会いと繋がりを太くしました。(記事:いわた)
>>
参加者主役の「つながる縁会@京都」《前編》【 続 き を 閉 じ る 】