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コミュニティ通貨の試み始まる 2

「RINKA」2 借金増えても心配なし?
リンカイラストマイナス.gif

最近、鈴鹿アズワンコミュニティに引越してきた冨田伸子さんは、地域通貨について詳しい。不動産業25年のベテランで、「自分の最後の転機だ」と、今回、アズワン株式会社の一員となり、不動産部門を立ち上げることになった。

その彼女が地域通貨導入について、「口座がマイナスになることに不安や心配、悪気を感じなくていいのよ」と話す。普通の感覚では、マイナスということは、人に借金するということ。
それを「マイナスになるってことは、プラスの人を作ることだから。マイナスの人のお陰でプラスの人が出来るわけだから、どんどんマイナスを増やして、使ってほしい」と言う。「全体の収支をみればプラスマイナスはゼロになるから」
こんな様子からも円を使う感覚とはだいぶ違う感じだ。そして、彼女自身、実際に運用が始まってその手ごたえを感じているようだ。

コミュニティのあるところに導入する意味は?

「最初は、すでにコミュニティが出来ているところに、わざわざ地域通貨を導入する意味があるのかな、と疑問に思いました。というのも、一般には、人と人のつながりや関係の無いところにつながりをつくるために運用するものです。しかしそれは、イベント通貨だったり、お友達どうしで使ったりで、結局廃れていくのが現状。ここでは、つながりや関係があっての運用なので、コミュニティ通貨の意味は少し違う。“円”と同じような価値を持ち、企業間どうしでも使える。
RINKAで回っていくようになると、その分“円”は残っていく。その円で自分たちに必要な産業や雇用を創出できる。家庭でも、RINKAで生活できる分が増えると円が残っていく。」
「お給料もRINKAでもらってもいい、という人が実際ここにはいると聞いています。」

口では言ってみたものの…

実際に自分がRINKAを使ってみての感想を聞くと
「自分の知識と感情にズレがあるのを感じる。人には、マイナスになることに引け目を感じなくていい、マイナスの人がいるからプラスの人が出来るんだからって、言葉では言ったけど、いざ、自分が使ってみるときに、やはり、人の世話になるとか、人に迷惑をかけることは、悪いこと、って思う自分がいる。」という。
「お金(円)だったら払わないけど、RINKAだと人に頼めるっていう時、それも何か恐さを感じる」とも。

今の世の中は、お金を介在して物やサービスが行き交っているが、お金が、物やサービスに換わったと受け取る人も多いだろう。お金を払うお客の方が偉かったり、お金を持っている方が強かったり、人と人の間に“お金”が介在することで、便利な面もあれば、大事なことが見えなかったりする。

冨田さんの話の中で、「RINKAでお給料をもらってもいい」という人がいると聞き、少し驚いた。まだ始まったばかりの通貨でお給料をもらっても使い道はどうなるんだろう?生活できるの?と思ってしまう。次回は、そんな人を訪ねてみることにする。つづく。(取材=いわた)
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