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暖かいある日のはたけ公園の昼前

アズワンコミュニティ2015年を振り返っての第2弾は、「街のはたけ公園」です。参観案内で登場するおもしろいおじさん、中井さんのレポート、「暖かいある日のはたけ公園の昼前」をどうぞ!

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ふと見ると恩田さんがサツキを植えていた。あちらでは竹本さんが彼岸花の球根をハウスの横に植えている。(右の写真:恩田さん)

広場の一角では辻屋さんが薪割りをしている。70歳を過ぎた彼は元気で里山で炭には適さない大きな木をはたけ公園に運んできてはいつも薪割りをしている。この一年その薪はみるみるいっぱいになった。ハウスとハウスの間に薪を二列にうず高く積んでその上に簡易な雨よけトタン。一年乾燥させると良質の薪になると言う。

彼はまたそのとなりのガラス温室でドラゴンフルーツの世話をしている。一夜だけ咲く花に奥さんを誘って蜂さながら受粉をしに夏夜に来ていた。今年はパッションフルーツも植えてガラス温室にはツルが伸びるに任せ天井を覆い夏は涼しくそして今も実を成らせている。これは甘酸っぱくいかにも南国の果物だ。
来年はゴーヤの代わりにSCSの緑のカーテンにしてみると苗をたくさん育苗している。毎日彼は来ているので、ファームのメンバーが彼の得意である機械の故障や配管修理を頼んでいる姿をよく見かける。僕も含め彼らシルバー達は誰に頼まれた様子もなく子供が時を忘れて遊んでいるようだ。「トンボつり今日はどこまでいったやら」そういう心境かもしれない。そういう遊び場がここにはある。その人その人の思い思いのままに、、、、、。



ファームの稲垣さんが出荷場前で携帯で誰かとはなしている、彼はメールよりも直接話すのが好きみたいだ。作業の時も持ち歩いているので一台ダメにしたようだ。



耕一がハウスから収穫した十数コンテナの野菜を台車に積んで出荷場に行こうとしているその時、遠くで「さら」のような声がした。円も来ているのかな?さらは耕一の長女でまる二歳になるかわいい女の子である。さらのかわいいしぐさを観るのは僕の楽しみの一つである。

出荷場に行くと、月岡さん亜子さん喜美ちゃんがブロッコリーとカリフラワーの袋詰めをしていた。月岡さんが「見て見て~」と言って、顔くらいの大きさのカリフラワーを見せてくれた。そこで記念撮影。月岡さんの顔横に掲げられたカリフラワーもなぜかうれしそうだった。

亜子さんは青虫がいるという数個のブロッコリーをもって外に出ようとしていた。聞いたらこれを水槽に浸けると青虫は息が出来なくなって水に沈んでいくという。簡単な除去方法のようだ。

彼女は時々京都に訪問介護に行っている。馴染みの人なので彼女が鈴鹿に引っ越して来たが、どうしても来て欲しいと言われ行っているとのこと、それで日頃はあまり口には出来ない高級な和菓子を土産にもらってきてくれて、休憩のひと時の茶菓子を美味しく頂いている。





また休憩時はファーム産の安のう芋をレンジでチン、最近は稲垣さんが農家の人からもらったという「もちっこ」という全自動餅つき機でついた餅を喜美ちゃんがもってきてこれもチンで砂糖醤油やきな粉で頂く、休憩の楽しみの一つである。もちろん美味しい蜜柑も常備。

(写真、上から月岡さん、亜子さん、喜美さん)




携帯が鳴った。アズワンコミュニテイの探訪に来ている人達のはたけ公園の案内だ。「まずは入口の案内板の前で待っててください」と僕は市川さんに伝え、僕も入口に向かう。僕は何十回と案内をしているが何時も同じ話をする、しかし不思議なことに毎回初めて話すかのような感覚になって話す。厳密に言えば毎回違っているのかも知れない、その時に大事にしているようなあたりを話しているように思うから。



「ここでは毎月はたけへ行こう企画をもう3年やってきています。何をするかといえばその時期の野菜種をまいて収穫してみんなで薪で炊いたご飯を食べます。これだけです。でもそこにはそれぞれの子どもの関心の赴くままに、そのあたりの棒きれをもってきてこの寸法で種をまくのね?とか途中から虫を追いかける子どももいたりとか。そんな子供たちの様子をみてお母さんは安心するの。スーパーでよく見かけるようす、そんなことしちゃおやつアゲナイヨ!そんな風景がここにはないの、そういうような気風が出来たらいいなって思うの。普段のおかあさんの生活の中で右見て左見て暮しているそういう世知辛いのが無い一時。短い時間だけどそれを味わって貰えたらと思って僕たちはやっているの。それと孫たちと身近にふれる一時はわれわれじじばばには楽しいの、息子には一言云いたいけど孫には無条件、、、」こういうふうに案内は始っていった。



はたけ公園はまた若者で運営しているスズカファームの拠点でもある。おふくろさん弁当に野菜を供給したり、地元の直売所を通して鈴鹿全店のマックスバリュー地場産コーナーに出している。そして毎年地元の中学の3年生全員が社会見学にきて耕一君の案内を耳をそばだてて聞いている。この案内はイケメンの若者に限る。このようにスズカファームは名実共にスズカ野菜を作っているといえる。スズカファームを支えてくれている多くの人によって鈴鹿には無くてはならない存在になりつつあるようだ。

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