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毎日新聞「家族2016:孤をいきる」に掲載されました。

1月8日(金)の毎日新聞朝刊、くらしナビ面で、「家族2016:孤をいきる」の第六回に、アズワンコミュニティが「助け合う市民団体」として採り上げられました。



ウェブ毎日新聞はこちらをクリック ↓↓↓
http://mainichi.jp/articles/20160108/ddm/013/040/009000c

また、「取材後記 担当記者が振り返る」の中でも、担当の鈴木記者がアズワンコミュニティについて言及してくれています。 ↓↓↓
http://mainichi.jp/articles/20160108/k00/00m/040/087000c
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家族2016
孤をいきる 

●助け合う市民団体

 家族がいてもいなくても、支え合える仕組みを築いた市民グループがある。

 三重県鈴鹿市の吉田順一さん(66)は一昨年の春、検査を受けた病院で、初期の喉頭がんを告知された。「手術の説明をするので、親族に来てもらってください」。病院からそう言われたものの、2度の離婚を経て約10年前から1人暮らし。母(90)と妹(64)は埼玉県に住み、簡単には頼めない。

 しかし、吉田さんは慌てずに向かいに住む船田武さん(71)、杏子さん(68)夫妻に依頼した。2人は付き添いを快諾し、手術同意書に署名してくれた。病院側も了承した。手術が終わり、目を覚ますと武さんがいた。「大丈夫?」と聞かれ、筆談で「大丈夫だよ」と返した。

 反対に、船田さんが長期で出掛ける際は、吉田さんに家の鍵を渡して飼い猫の世話を頼む仲だ。「1人暮らしでも不安は感じない。信頼できて気の合う友人がそばにいるから」と吉田さん。昨年11月には、未明に近所の竹本美代子さん(54)から「夫が『脚が痛くて眠れない』って」と電話を受け、車で病院まで送った。困った時はお互いさまだ。



 吉田さんと船田さん、竹本さんは、市民グループ「アズワンコミュニティ鈴鹿」に属している。2000年に教育研究者の小野雅司さん(54)が「持続可能な社会づくり」を目指して活動を始めた。明確な登録手続きはないが、小野さん主宰の研修に参加したなど、活動に共感した約80人が集う。小野さんは「コミュニティー全体が大きな家族のようなもの」といい、物や時間や手間を融通し合う。

 その一つが「コミュニティストア」。活動拠点の事務所内に食料品や日用品などを並べた部屋があり、メンバーなら、必要な物を申告して自由に持ち帰れる。資力に応じて毎月平均3万円程度を出し合っているという。

 小野さんによると、東日本大震災以降は「地域のつながり」を求めて視察に訪れる個人や団体が増えたという。

 小野さんは「普段から家族以外に頼れる存在がいるのは心強い。とはいえ全くの他人と助け合うことは現実的に難しい。信頼できる身近な人と『大きな家族』を作れれば安心して暮らしていける」と話している。=おわり


家族2016
孤をいきる/取材後記 担当記者が振り返る


 第6回で紹介したアズワンコミュニティ鈴鹿(三重県鈴鹿市)では、近くに子どもが住んでいても、何かあれば隣近所の仲間を頼る関係ができていた。話を聞いた女性(68)は「娘には娘の生活があるから」とさらりと言った。老親の介護に直面した女性(60)は「家族だけで抱え込むことがどれほど大変か。血縁、地域、友だち、いろいろな関係があっていいと思う」と口にした。

 東日本大震災以降、「地域のつながり」を求めて同コミュニティを視察する人が増えたそうだ。震災直後は「家族の絆」を見直す風潮もあった。でも、強いつながりや絆は何本もある方が心強い。「いろいろな関係」を他の地域でも実現できるよう、知恵と覚悟が必要だと思った。
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