「自分を大事にすること変わること」辻信一さんのお話


辻さんのお話も4回目(最終回)です。記者としては意外な展開になりました。会場にいたセブン・ジェネレーションズの代表をつとめるヒロさんの質問からです。

「最後に示された、ローカリゼーションの流れをどう作っていったらいいか、既にあるその流れが社会に影響を及ぼしていくには、どこからアプローチできるのか考えています。辻先生は、こういう思いの人たちが、どうつながり、どこに力を合わせて社会を変えていくのか、世界を変えていくのか、その一番最初のポイントはどこだとお考えでしょうか?」

自分を大切にすること

ヒロさんの切実な問いかけに辻さんも誠実にこたえます。

「今の質問に、完璧な答えはありません。僕には実際ない。僕も同じように悶々と考えてきた一人です。でも、一つ言っておきたい、とても大事なことはですね、“自分を大切にする”ってことだと思うんです。僕は若い時からいろんな運動に身を投じた。時には、心も暴力的になったこともあります。人に敵対するエネルギーに駆られた時もある。今思うのは、この世の中を思いやったり、社会を思いやったり、他の人について思いやったり、未来について思いやったりする、そういう自分を育てるってことに、僕らはあまりにも無関心だったんじゃないかと思うんです。自分を育てたり、自分を大切にするってことは、実は、そう簡単なことではありません。
社会を変革するって言うと、自分がすでに完成形で、そこから世の中をいい方向に変えてやろう、導いてやろうと思いがちで、自分はカッコの中に入ってるんじゃないかな。


僕も森林を守る活動をやってきた。ある時、エクアドルに行ったとき、世界一のマングローブがある村に行くんだけど、いつも急いでそこに行く。さあ、始めるぞ!地元で迎えてくれる人たちがいるんですが、挨拶もままならぬうちに活動がはじまる。帰る時もいつも急いでいる、さあ早く出発しよう!荷物忘れてないか!って。じゃあまたねって。それである時、一人のエクアドルの男性が、別れ際に、今回○○さん来てなかったけど、宜しく言っといてねって言ってくれた。あ、わかったわかった、って。
車の中で考えた。○○さんと1年間会ってないな。

彼らからすると、僕と○○さんは同じ村に住んでいるんですよ。彼は村の人だ。だから、僕らはみんな日本の村から来ていると思っている。つまり僕らが所属している世界と彼らが所属している世界はまったく違うんですよ。違う宇宙にいるようなものです。そして、のんびりとした彼らの暮らしを見ていると、ある時、酒を飲んでて、急におかしくなって、腹を抱えて笑って、もう腹が痛くなるくらい笑って、ふと、何がおかしいんだろうって。それで、気づいたんですよ。

自分のしていたことは?

自分達だ! 自分達がアクセクして、それをそのまま村に持ち込んで、のんびりしている村でマングローブ守ろう!とか言って大騒ぎしてる。これは何が変わらなきゃいけないかって、僕らじゃないか!しかも、マングローブの伐採を引き起こしているのを辿っていくと僕らの経済、僕らのこの暮らしを守るために、世界中で地球の自然がぶっ壊されているんです。それでナマケモノ倶楽部を作った。

ナマケモノ倶楽部って、自分はスローダウンしようぜ!って。自分を大切にしよう、家族との時間を大切しよう、友達との時間を大切にしよう。そして時間を無駄にすることを大切にしよう。
僕は熱心に活動されている方々を尊敬しています。尊敬してるけど、まず僕たちは、まず自分を変えていく。
森を守る活動家に、“最近、森へ行ってる?”って聞いたら、“そんな暇ないよ”って。やっぱり、森が好きなんだっていうオーラがその人から出てなかったら、他の人は魅力感じないです。若い人はそんな人について行かない。」(辻さん)

グローバルな社会や歴史の流れを解説した後の質問の答えは、たった一人の自分のことでした。これ以上ローカルな話はないでしょう。社会をどうするかではなく、個人がどうしたらよいか。自分が変わっていくこと、成長することではないかと。インパクトがありました。そして、説得力が。自分が変わることで社会が変わっていく。自分と社会の結びつきが見えた気がします。

最高の智慧は?

そしてもう一つ紹介したい辻さんの話です。
「2500年位前に世界各地で、人類史上最高の知恵者が現われた。ギリシャの哲学者たち、ブッタ、中国の老子、孔子、同時期にです。
その人たちが言ったのはただ一つです。“最高の智慧は足るを知ることだ”。
足るを知らない人たちが危機を起こしている。お金だって心が生み出した幻想ですよね。
僕たちがいま、ブッタや哲学者のようになる時代です。少ない天才ではなく一人一人がそのレベルに到達する時代、かな?」(と辻さん。会場からまばらな拍手)



現代を生きる私たちが、「足るを知る」ことが出来るかどうか。
一人の努力では難しくても、たとえば、小さなコミュニティで仲間を作り、みんなで成り合っていく、そんなやり方はどうでしょう。苦しい修行ではなく。ラダックの暮らしのように楽しんで(と言っても記者は現地に行ったことがありませんが)。
意外と簡単かもしれません。
辻さんのお話からたくさんのヒントを頂きました。(記事・いわた)


進行はスモール・フォレストの小森さんでした。(名前に“スモール”があることが嬉しそう)

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