愛知学院大学経済学会で「人のための会社」の事例講演


愛知学院大学 名城公園キャンパス校舎からの名古屋城界隈


長時間労働や過労死が社会問題となり、「働き方改革」が会社経営の大きな課題になっています。そのような中で、「人のための会社をつくろう」と生まれた「おふくろさん弁当」(鈴鹿エコサウンド株式会社)での働き方が注目されています。
その関心は、会社経営者ばかりではありません。大学で経済を教える先生からもありました。

新年1月10日、愛知学院大学経済学会で教員と学生を対象に、「人のための会社をつくる―鈴鹿エコサウンド株式会社の事例に学ぶ―」と題して講演会が開かれました。講師は、社長係の岸浪龍さんと、会社経営の試みを理論的に支えるNPO法人サイエンズ研究所の坂井和貴さん。約3時間にわたって2本立ての講演会で、質疑応答では教員・学生たちとの活発な意見交換がありました。


経済学会委員 関根佳恵氏(愛知学院大学経済学部・准教授)

企画したのは、愛知学院大学経済学部・准教授の関根佳恵氏。数か月前にアズワン鈴鹿コミュニティを見学に来られ、鈴鹿での研究や社会実験にも関心を寄せ、共鳴されたのがキッカケです。
「会社経営の常識ともいえる『規則・命令・上司・責任がない』会社が、どのように労働時間を減らし、社員が楽しく働き、かつ高い経営効率を達成しているのか。ひいては地域社会をも明るくしているのか? そんな国内外から注目されている会社がこの東海地方にあるということで、是非学生たちと考えてみたい」という主旨でした。

関根さんが着目した点は、「会社と地域社会とのつながりが深いこと」です。「そのコミュニティとの繋がりや生き方や新しい取り組みの話も聞いてみたい」と思い、後半のテーマの副題を「新しいコミュニティ創造への挑戦」として、坂井さんが発表しました。

「働き方」は30年前からの議論



開会の挨拶に立った経済学会長の玉井金五氏(愛知学院大学経済学部長・教授)=写真=が、「働き方改革」は、今に始まったことではない、とその社会的背景を述べています。

「“働き方改革”のテーマは、30年前から様々に論じられています。“猛烈社員” “エコノミックアニマル”という言い方で、働くことが日本人は熱心であると言われてきました。
90年代には、生活を大事にしていかなければいけない、という声が強まってくる。同時期に“ファミリー・フレンドリー企業”という、従業員だけでなく家族にも優しい労りのある企業が評価されるようになった。
その到達点が、2007年の“ワークライフバランス(仕事と生活の調和)憲章”です。それから10年が経過した。今それが成り立っているかどうか。長時間労働の問題、過労死、ブラック企業と問題が山積しています。
その中で、今日、従業員の満足度が高い企業の事例を報告してくれるということで大変期待しております」

2つのプレゼン


講演Ⅰ「人のための会社をつくる―おふくろさん弁当の取り組み―」岸浪龍さん


講演Ⅱ「人のための社会をつくる―新しいコミュニティ創造への挑戦―」坂井和貴さん(サイエンズ研究所)


ラディカルなシステムの入れ替えが必要



最後にもう一度関根先生がご挨拶。
学生の皆さんが、やわらかい心で素直に受け止めてくれてよかった。
私は、農業経済学が専門です。環境、食糧の問題を考えると、今の社会のシステムが持続可能ではなく、大きな、ラディカルなシステムの入れ替えをしなければ、この地球が、社会が、私たち人間が、もたないな、と常日頃から感じていました。
今の社会のシステムが、名古屋城の石垣のように積みあがって出来ている。その一つに大学もシステムの中に入っています。そのブロックをどこから変えていったらいいのか悩むところです。大学のあり方と会社や社会のあり方は鏡のような関係になっている。社会でこういう人材が求められているから、大学ではこれを教えなければいけない、こういう能力を持って世の中に送りださないといけない。それが大学の評価の基準にもなってきたり、教員の評価の基準にもなってきたり…、

今日お話しを伺って、半年前に鈴鹿コミュニティに行ったときに、逆さメガネの話を聞きました。掛けると風景が逆さに見えるメガネです。それを掛けて自転車に乗れるか?というと怖くて最初は乗れない。でも慣れると乗れるようになる。慣れるとメガネを外して自転車に乗るのが怖くなる。私たちが社会を見ているときや大学で学んでいるとき、逆さメガネをかけていて、外すのが怖いだけかもしれませんね。というお話しで印象に残っています。今日はそんなことを考えるきっかけとして勉強になりました。学生の皆さんも自分の身近な社会の中で、人とのかかわり方や接し方で、自分の周りの社会が変わってくるのではないかと思いました。



今日は、名城公園隣りにある愛知学院大学で「人のための社会をつくる~新しいコミュニティ創造への挑戦~」というタイトルで講演会をさせてもらいました。
数か月前に鈴鹿コミュニティに見学に来られた経済学部の関根佳恵准教授が、私共の研究や社会実験に関心を寄せ共鳴してくれるなかで、このような場が実現しました。
ウン十年前に通っていた大学とは全く違う、ホテルのように綺麗でハイテクな建物の中での講演でしたが、学生たちは変わらず、次の社会をつくる若いエネルギーだなと感じた一日でした。(坂井)




学生さんの素直さ感じた
質疑応答で学生の一人が、
「講演を聞いていて、言い方悪いですが夢物語で非現実的だと思いました。でも、こういう取り組みがあることを知って、自分の考えや頭が、固かったんだと思った。こういう会社は存在しないと思っていたので、あるということが、ビックリしました。もし、こういった取組みが日本中、世界中につながっていけば、すごい暮らしになるんじゃないかなって思います。」と、話していた。
相手を批判するのではなく、「自分の方の頭が固かったって思う」、そういう受け止め方をする彼の話に、胸が熱くなった。

他の学生さんもバイト先での問題点を投げかけていた。
「バイトの高校生がちゃんと仕事をしない、言っても分かってもらえない・・・仕事を軽く考えていて・・」とか、「サボったりしないんですか?」という質問や、
大学生ながらの率直な話が出て、誠実なやりとりがあった。
若さって、素直だなというかんがした。(iwata)


昼食を囲んで先生と講師の懇談


講演前に先生方と、おふくろさん弁当を頂きながら打合せをする


おふくろさん弁当の特製「三重弁当」(県内産の食材使用)と鈴鹿茶

最近は、大学からの講演依頼も続いています。
昨年12月には立命館大学経済学部のゼミで、1月22日には、静岡文芸大学大学院のゼミで、話をさせてもらいました。

学生たちに、アズワンネットワーク活動から生まれた研究や実験・実績、そして「サイエンズメソッド」をもっと届けていければと思います。(記事:いわた)

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