<< コミュニティハウスえぐち 繁盛期 | main | コミュニティハウスえぐち 繁盛期 >>

プレゼントし合って暮らす

TS3V00880001.jpg
アズワンコミュニティの暮らしの中で、月2回、「サイエンズ・カフェ」という名称で、お茶を飲みながら気楽に、『サイエンズ』の本を読んで、その理解を深める機会がある。今は、『やさしい社会』(サイエンズ1号)を読み進めている。
今日は、その中で「プレゼントし合って暮らす」という項目を読んだ。

普通は、お金があれば、好きな物が手に入り、好きな所に行けたりして、お金で自分がしているように思ってしまう。しかし、よく見ると他の人の行為によって本当は成り立っていることが見えてくる。
スーパーで一個の果物を手にしたとしても、そこには無数の人の行為が存在する。ちょっと想像するだけでも、驚くほどの事実が浮かぶ。
お金も動いているが、実は、人の行為の集積で社会が成り立っている。
お金の部分しか見えないと、本当は大事な人の行為や、そこにある人の思いなどに心が向かなくなってしまう。
そして文章は、自分のやりたいことや出来ることをして(農業をする人、車整備をする人、美容する人…)、お金でなくプレゼントし合って暮らすのはどうか、と続いていく。

そんな話をしながら、ここで暮らすYさんのことが話題に上った。
Yさんは果樹栽培や畑仕事が、とても大好きなようだ。畑の手入れにも余念なく、出来た作物は、親しい人たちにタダで渡し、そうすることがYさんの喜びのようで、純粋に作物づくりに精を出しているということだ。

最近では、はたけ公園の一角にぶどう畑を作り、苗木を植えたという。
その写真が上記の写真。
カフェで話だけを聞いたので、早速畑に行ってみると、一目で、ここがYさんの作っている畑だと分かった。
雑草はなく、整然と苗が植えられている。
果樹園は、野菜畑と違って、畑作りにとても手間がかかるそうだ。水はけをよくするために土を深く堀り排水溝を通したり、また、収穫までには何年もかかる。別の仕事でお金を稼ぎながら、この畑づくりが本業でやりたいことのようでもある。
そんな話を聞いていると、Yさんの熱心さを想像してしまう。
人に食べてもらいたい、プレゼントしたいという心情とはどんなものだろうか。

子どもの頃は、好きなことに夢中で、お金とは別の世界で生きていたように思う。そんな子ども心がYさんの話と重なってくる。
いつしか、何かの代償によって、お金の為に働くようになっていく。ミヒャエル・エンデの『モモ』に出てくる時間を奪う灰色の男の仕業のように。哀しいがそれが現実とは言わない。Yさんのように少しでも自分のやりたいことで、人に贈りたいものが増やせていけたら、その輪は少しずつ広がり、豊かな社会になっていくのではないか、ということも思う。
僕を畑に向かわせたのも、Yさんの心情に触れてみたいという自分の中にある純粋な心が反応したからだ思う。

TS3V00900001.jpg

ぶどう畑の帰り道、大平さんに遭遇。大平さんは段ボールコンポストで家庭から出る生ゴミを堆肥に変える活動をしている。段ボールで出来る未完熟堆肥を畑に集め熟成させていく作業。そんなところに出くわした。

TS3V0094.jpg
その隣では、古西さんがシソを栽培中。

TS3V0095.jpg
1ヶ月ほど前に種を撒いたそうだ。あと1ヶ月ほどしたら収穫をはじめるという。このシソの下には堆肥があり、その熱で芽が出ているのだとか。へー。
大平さんにも古西さんにもそれぞれに、そこに注ぐ思いがある。
Yさんについてはまた改めて取り上げてみたい。(記事 いわた)
- | trackbacks (0)

Trackbacks