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暮らしの一コマから…

今回はコミュニティの暮らし、ある一コマから紹介したいと思います。
ここに暮らしている人は、『どんな心持ちでいるんだろう?』

以下、宮地さんの10月12日のブログ、
「おばあちゃんの晩ごはん」より抜粋し紹介します。
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宮地さん

携帯電話が鳴った。
中野さん 「宮地さん、来る?」

宮地さん 「うん、今真っ暗な中、椅子に座っている」

中野さん 「ええ?、ああ、今行くわ」

申し合わせた時間に行ったら、そこは明かりがついていなかった。
入口のドアは開いていたので、家のなかに入って、鏡の前の椅子に座った。

美容室らいふ

中野さんは、日中はおふくろさん弁当屋で働いている。
弁当屋さんは、鈴鹿から隣接する津・四日市にも、お弁当の配達をしている。

「一個から無料で配達します」というのが、ウリの一つ。
中野さん、その配達をしている。

中野さんは、美容師さんだった。
20余年まえ、出会ったときは、茶髪で、いかにもシャレた美容室で、
手際よく女性を美容しているイケメンな青年という感じがした。
どちらかといえば、ぼくとは無縁な人という感覚。

豪さん①

10年ほど前、ぼくの住んでいるところから離れた。
そして数年前、ぼくの方が豪さんの住んでいるところに引っ越した。
合宿で何日かいっしょに暮らす機会があり、
自分のイメージとちがう豪さんを発見した。

今年の春ぐらいから、贈り物で美容をやると言い出した。

家の前に、離れの小さな家があり、
いつかそこで美容室をやりたいと思っていたという。
鈴鹿ファームの青年たちが、「本当にやりたいことは?」と考えて、
野菜を贈り合いのお店に出し始め、お弁当屋さんもそれに続いた。
それからしばらくして始まった。

豪さん②

中野さんの理容、散髪は手際いい。時間も短い。
きっちり、丁寧にやってもらう散髪も悪くないが、
「そこまでカッコつけなくてもいいんじゃないの」という時もある。
あっという間に出来上がるが、案外満足である。

以前は、「頭の後ろの出来栄えを見ろ」と、
嫌がるぼくにお構いなく手鏡を前面の鏡に写して、後頭部を見せてくれた。
薄い髪の毛に愕然とした。
最近は、忘れているのか、すぐ放免してくれる。

おふくろ号

中野さん 「いやあ、最近夕方の配達がきつくてねえ。
      もう、すぐ暗くなるやろ。
      なんか、目が霞んで、疲れるし、アブナイ感じもあるんだあ」

宮地さん 「豪さん、何歳になった?」

中野さん 「57・・・」

宮地さん 「ぼく66」

中野さん 「宮地さんと10歳違うんかあ」

話、かみあっているの?

お弁当②サンドイッチ

中野さん 「きのうも、大変だったよ。
       寝たきりのおばあちゃんのところに夕食弁当届けたんだ」

宮地さん 「へえ、そんなこともあるんだ」

中野さん 「そうよ、娘さんが近くにいるんだけど、忙しいときもあるんだろね。
       マンッションの部屋は鍵が締まっている。
       鍵の隠し場所教えてもらっていてね。
       届けて、帰ろうとしたら洗濯物を取り込んでほしいって言われてね。
       取り込んだよ。それが、いーっぱいあるんだ」

宮地さん 「そんなこともあるんだあ」

豪さんは、ボヤいているのか、内心うれしいと思っているのか、わからない。
秋の日暮れのなかの、弁当配達の時の気持ちの話だ。
豪さんの気持ちはそっちのけで、勝手に自分の頭はいろいろ想い始めている。

平田店前②お弁当①

「お弁当一個から無料で配達します」

こういう仕組みがつくってあると、
寝たきりのおばあちゃんのお手伝いもすることができる。

じゃあ、仕組みが出来ているからといって、
おばあちゃんの洗濯ものを取り込むところまでやれるかどうか?

豪さんは、ボヤきながら、まんざらでもないという感じがしたがどうだったか。

さて、帰りながら、『豪さんと話がかみあっていたかな』、と思った。

「彼に、なにか聞いてほしいということがあったかも・・・」
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