「おふくろさん弁当」次の一歩へ

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『本当にあったこんな会社!“規則も命令も上司も責任もない”幸せを運ぶおふくろさん弁当』そんな本が出版されて、世間からも注目を集めた会社、おふくろさん弁当。しかし、今また、ゼロからその中身を見直そうとしています。「本来の人、本来の社会」を実現していく会社として、どうなんだろう? そのための集中研究会が、弁当屋の社員22名で開かれました。その参加者の一人のレポートです。


5月の第2週、第3週でおふくろさん弁当の集中研究会が開かれました。22名のサイエンズスクール会員対象で、午後から夜まで、それぞれ4日間に渡っての研究会でした。午後からとは言え、日々の営業をしながら、これだけまとまった人数での研究会は初めてのことでした。

おふくろさん弁当は今年で営業11年目を迎えます。アズワンネットワーク鈴鹿コミュニティの産業部門の中では一番の大所帯です。
11年間かけて「人のための会社」を目指して、試行錯誤を重ねて来る中で、規則や命令、上下関係がなく(上司がいない)、責任もない。いつでも休みたい時に休める会社として、各方面から注目を集めるようになりました。
やっているメンバーも、何か本来の方向に進んでいるような感覚も生まれてきました。

しかし、ほんとうに、このような現れは、本来の人間、本来の会社の実現と関係があるのでしょうか? 
現状の社会からすると、人に優しく、人のために良い会社に見えます。しかしそれは「現状の社会観」をベースにしたところからの見方ではないか、そんな意見も出てきました。
もしそうだとすると、これはいつまでたっても、目指す会社の実現には至りません。

今年に入り『SCIENZ6号 次の社会へ 「人知革命=サイエンズメソッド」』が出版され、アズワンネットワークメンバーによる輪読会が各所で始まっています。
そんな中、おふくろさん弁当でも今一度自分達のやっていることを見なおそうということになったのです。研究会では、『SCIENZ6号』の第4章「サイエンズメソッドによる人知革命」を資料に、みんなで読み合い深めていきました。(O)

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恵共同体、アズワン物語〈4〉「一つのチームになるには」



「職場や部門間にある壁がなくなり、一つのチームになるには…」

鈴鹿コミュニティの中にも、職場や部門がいろいろあり、普段は各自それぞれの場で仕事や活動をしている。どこか忙しい職場があれば、応援に駆けつけたり、急がれることがあれば、その時やれる人がやったり、融通しながら臨機応変に対応し、互いに周り合う関係性がある。

ただ、いつでもそうかと言えば、そうでないこともあるし、担当が明確ではない仕事になると、誰がやるんだろう?という狭間が出来たりする。
そのため、ということではないが、今年に入ってくらいから、職場や部門がもっと「一つ」であることを「サイエンズメソッド」によるミーティングを重ねる中で明らかになり、それによって各自の意識に大きな変化が出てきた。意識の変化というよりも、心の内面の変化だろうと思う。

自慢話しかもしれないが、いろんな面でコミュニティが成長しているように感じている。そういった内部成長が、職場や部門の壁をなくし、一つのチームのように動くことが出来たのが今回の受け入れだった。

恵共同体81人の企画が、スムーズに、ギクシャクすることなくやれたのは、上記の成果ではなかったかと思う。やったことのない規模にも関わらず大きな安心があったし、一つのチームになれたこと、やれたことが、何よりも大きかった。

恵共同体の彼らの感想に、「ここに来てとても居心地がよかった」「安心していられた」という言葉があった。ちょっと驚きだった。というのも、滞在中は、鈴鹿のメンバーが接した人数よりも彼らの人数の方がよっぽど多かったのに、鈴鹿の空気に浸ってくれたのだ。一体何が伝わっていたのだろうか。

私達は、地球という星に生まれ、自然と共に生き、社会という人の営みの中で暮らしている。本来は、みな一つの営みの中に存在しているのだろうが、人の意識の方は、個々別々のものとして認識し、世界が一つであることや全体の一部であるという意識の方はあまりないだろうと思う。

意識がバラバラであっても、本来はそういう「一つの世界」の中にいる私達。心の方(無意識の方)は、たぶん、その世界に生きているのだろう。つづく…(文・いわた)
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安心して看取られる地域の施設を創りたい

4月28日、理想の暮らしを語る会の公開講座がありました。
今回のテーマは「介護は新しい文化を創造する
――子育て中の介護士が語る介護現場と地域での看取り」です。
講師は、子育て真っ只中で介護士として老人施設に勤務しケアマネの資格を取得した森原遼子さんでした。レポートは、語る会のメンバーの一人、辻屋康子さんです。



講師の森原遼子さん

森原さんの話を聞いて、現場の様子が伝わって来ました。

要介護度によって、入所できる施設の違いを私も父の介護のことで、学んだばかりですが、どこも一緒ではないし、職員さんの質が大きく問われる上に経営者の考え方が変わっていかないことも問題らしいです。



家で最後まで過ごせるのはもちろん良いのですが、私たちの地域力で新しい楽しい誰でも行きたくなって、帰るのが嫌になるような、そんな施設を増やしていけないかなって思いました。



見取りを自宅で、家族に見守られて出来るのは理想かもしれないけど、身内が一人も居なくても、安心して看取られる地域の自分達の施設を創りたいなあと思った1日でした。
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恵共同体・アズワン物語〈3〉「本来その人の中にあるもので…」


「本来その人の中にあるもので…」

世間には、ルールやマナーがあり、それを守ることで秩序が保たれている。守らない人もいるから罰則で強制するし、善悪というモラルによって人の行いを統制している。子どもの躾けもそのためだろうが、もっと伸び伸びした方法で秩序ある社会は出来ないのだろうか?

恵共同体の人たちは、そのあたりの根本的な見方が私たちと違っていた。「人は利己的であり、他人を思いやることを訓練しなければ身につかない」
そんな考えだった。また、「日本人はとてもマナーがよい国民だ」とも言った。たしかに、震災直後の日本人の良識のある行動は世界からも注目され、日本人の美意識や誇りにもなっているのかもしれない。

ただ、モラルやマナーは窮屈でもある。時代でも変われば国でも違う。みんながみんな心からしているわけではないだろう。ストレスにもなるから、その反動がどこかに現れる。悪事が絶えない原因はその辺りにありそう。生まれながらの悪人がいるわけではない。人の心の中に本来あるものを発揮することで、調和した社会が出来るのではないか… というのがアズワン鈴鹿コミュニティの試みであり、スタディツアーでも、そこに触れて、その人の中に元々あるものが動き出したら…

そんな願いで、韓国から来る81人をどう受け入れるか、私達のプロジェクトがスタートした。
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恵共同体、アズワン物語〈2〉「自由意志による運営」


「自由意志による運営」

「韓国から81人が鈴鹿にやってくる」
そんな話を聞いたのは今年3月に入ってからだ。
「81人も来て、宿泊場所はあるの?」
「どこで食事するの?」・・・
と、こちらのメンバーもどう受け入れたらいいのか戸惑いもあったと思う。

アズワン鈴鹿コミュニティでは、2010年からコミュニティを見学する企画を1泊とか2泊で開催している。
以前は「探訪DAY」と呼び、今年3月から「アズワンスタディツアー」と名称を変えて、内容もより充実し分かりやすいものになった。
ただ、参加人数は、3、4人から、多くても10人程度。これまでも様々な団体が訪れたが、81人という規模の人数を受けれたことはない。

ツアー企画や訪問者の宿泊などを担当する、「ヴィジターズ」と呼んでいる6人ほどのメンバーがいる。通常は、そんなメンバーで運営しているが、恵共同体の81人に関しては、そうはいかないだろう。他のメンバーの協力も必要になってくる。

鈴鹿コミュニティの運営は、一人一人の自由意志を尊重し、それでいてコミュニティ全体として調和していくスタイルだ。その運営方法は、多数決で物事を決めたり、命令で人を動かすことはしない。組織そのものに束縛や強制がなく、個人も組織も「自由」なのだ。やさしく言えば「しなければならない」ことがない。各自「してもいいし、しなくてもいい」、するもしないもその人次第という雲を掴むようでもある。そういう「考え方」(思想)で行動するのでもない。「このコミュニティではそうしてるよ」というのも一つの強制になってしまう。

こういった人を縛らない組織運営で、果たして、大型企画が成立するものなのかどうか?

僕自身もこの企画メンバーの一人として参加していた。つづく〈文・いわた〉
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恵共同体・アズワン物語〈1〉「出会い」



「永続する共同体を求めて」

恵(めぐみ)共同体は、リーダーを必要としない、互いが横の関係で結ばれるあり方を求めていた。現在は牧師さんという父親的な存在がいて、メンバーの心の拠り所になり、牧師さんを中心に、一つの家族的な関係がつくられている。

その親的存在がいなくなることへの漠然とした不安があった。牧師さんが今日明日に居なくなるわけではなないが、居なくなっても自分たちの共同体が持続していくことを望んでおり、彼らにとって切実な問題だった。

また、牧師さん自身も、自分がいなくなった後も、この共同体が永続していくことを深く望んでいた。我が子のように育ててきたメンバーの行末を心から案じていた。

そんな彼らは、他の共同体と交流しながら、永続性のある方法や道を模索していた。そして昨年の10月、「アズワン鈴鹿コミュニティ」の話しを聞くことになる。

アズワン鈴鹿の運営は、リーダーがいない、上下がない、命令や規則で運営するのではないらしい・・リーダーが居なくて、どうやって・・・?

半信半疑で聞きながらも、もしかしらたら、自分たちが探しているものがそこにあるかもしれない・・
そんな光を見たようだ。「一度みんなで訪れてみたい」という話しになる。

牧師さんをはじめ、恵共同体81人のツアーが計画されていく。(つづく)〈文・いわた〉
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恵共同体・アズワン物語〈0〉「感動の涙」

韓国恵共同体81人と過ごした2泊3日は、私たちに多くの恵みをもたらしてくれました。改めてそのことを振り返ってみることで、それが何だったのかを検証してみたい気持ちです。そこでそのプロセスを一つの物語として綴ってみました。何かのヒントや問いかけになればと思います。(文:いわた)



プロローグ「感動の涙」

恵共同体の人たちと過ごしたのは、たった2泊3日だったが、別れる時は涙が溢れた。別れの悲しみではない。あふれてくる感動だった。この涙はいったい何だったのか? 

私達は思わぬ出会いに感動する。心と心が触れ合ったとき。共にに共感し溶け合ったとき。

たぶん、そんな出会いだった。求めているものをお互いの中に発見できたことの喜びや嬉しさ。as one 一つであることを感じたこと。

私達は、私達が作り出している様々なフィクションの中で暮らしている。
国家も法律も貨幣も文化も、また、権利や義務というルールも。
そのことに縛られていることもあるが、言葉や文化の壁を超えて、人と人という実際(objective reality)の中では同じ人なのだ。そういう人と人の心の出会いがあったんじゃないか。

フィクションをフィクションと気づけば、人と人の壁はなくなるのではないか。

つづく
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韓国恵共同体81人のスタディツアー!



リーダーも上下もない「次世代型組織運営(ティール組織)?」で受入準備を進めてきた韓国恵共同体81人のスタディツアーが5月4日から7日まで行われました。子どもたちは3泊し、大人たちは2泊3日を過ごし、アズワンの目指す社会を探究する中身の濃いツアーになったと思います。

最終日はお互いが一つの家族になれたような感慨がありました。3日間の短い時間を共有しただけですが、閉会式では感動の涙に…。快晴で迎えたツアーも、別れの日は雨空となり、別れを惜しんでくれたような気がします。





初日、歓迎式で、恵の人たちがアカペラで『イマジン』を、全員で合唱を披露してくれました。
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