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その人のやりがいや幸福感はどこから来るのだろう?

先日紹介した北海道大学大学院のインターンシップで6日間鈴鹿コミュニティに来訪していた及川さんの報告レポートを紹介します(彼のFacebookより抜粋)。
本当にわずかな「見る・聞く・学ぶ・働く」の経験しかなく、現時点での私の理解に過ぎませんが、アズワンコミュニティの持続可能性(サスティナビリティ)の構成要素を分析すると、
①【サイエンズに基づく学び合い】
②【責めの無い・気持ちを聴き合うコミュニケーション】
③【一人一人の暮らし(生活や経済を含む)を支える社会機構】
が大きな柱だと思いました。
さらに今後を見据え、持続可能性の要素を追加すると、
④【来訪者との価値共創】があると感じました。
特にコミュニティに留学生として深い学びのある暮らしと労働を体験するライフスタイルは、本人の学びはもちろんのこと、各地域で同じ思いをもった人たちが連帯していくきっかけにもなると感じました。

 ↓ ↓ ↓ (全文は以下をご覧ください)
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【インターンシップ研修のご報告】

大学院のインターンシップ研修で、三重県鈴鹿市にある「アズワンコミュニティ鈴鹿」に6日間滞在しました。昨年の9月から今回で6度目の訪問で、到着後、北海道とは異質な日差しの強さと蒸し暑さに圧倒されましたが、顔見知りのコミュニティの方や留学生の人たちに会って、普段連絡を取り合っていない間柄にも関わらず、和気あいあいとした温かい雰囲気に包まれ、ほっとしました。



滞在中は、①Suzukaファーム(収穫と出荷作業)、②すずかの里山(炭の袋詰めや木材の整理)、③おふくろさん弁当(盛付・惣菜のパック詰め・洗浄・野菜の下準備)という職場体験を中心に、④サイエンズゼミという勉強会への参加、⑤コミュニティの方や留学生の人たちとの食事会、さらには、⑥留学生へのインタビュー調査・・・等、受入だけでも大変なところ、多岐に渡って最大限に様々な機会を作って頂き、宿泊したホストファミリーの方も含めて、本当に色々な人々のご協力の下、私にとって貴重な学びの連続となった6日間でした。



どの職場でも朝早くから真摯に働く人たちが居て、真夏の過酷な現場で、もくもくと仕事に向き合う人たちが居るからこそ、コミュニティの日々の営みが紡がれているという現実に触れました。特に私はお弁当屋さんで7時に始まる盛付作業から参加しましたが、調理の方たちはさらに何時間も前から働いており、一日800~1000食のお弁当生産の土台を担っていました。

実際におかずの盛付のラインに入ると、傍から見ていると楽そうに見えたのですが、最初は慣れないこともあって、遅れないで盛り付けることに必死でした(私は配慮してもらって、レタスや漬物など比較的簡単なものでしたが・・・)そして少し慣れた頃、違う種類の弁当に変わり、新たなフォーメーションに組み替えられ、今度は両手を使い複数のおかずを盛り付けました(本当に集中力と根気が要る作業でした)



自分以外に目を向けると、作業中に、「ラインのスピードもっと遅くして付いていけないよ!」「もっと早くして!」「ちょっとエネルギー切れ糖分補給したい!」・・等遠慮なくその時々の自分の気持ちが表現されていました。それに関わって誰かが決めていくというよりも、支障が無ければそうなるし、違う人から「配達の人を焦らしたらアカン」といった思いが表出されれば、その声も聴き合って、じゃーどうする?と話し合うでもなく、自然ともう少し休まないでやろうという流れになり、なんとなく“もうひと踏ん張り”といった展開になっていきました。私なら同じ状況で何も言わないで我慢してしまいますが(笑)、ここのコミュニティの方はお互いの気持ちを自由に表出し合い、まさに遠慮のない親しい間柄を実現していました。



さらに、職場では毎週ミーティングがあり、特徴として、職場での出来事や問題点について、責め合うことなく安心して自分の思いや考えを表し、どのように改善するかの話だけでなく、どのような職場でありたいのか、本当にみんなが願っている職場へと進んでいるのか等についても、話し合っていると伺いました。“会社の発展のために人を使う”のではなく“一人一人が幸福になるための会社”を目指している【おふくろさん弁当】ならではの気風を感じました。



Suzukaファームは、最初はコミュニティの人たちに野菜を届けたい!という若者の志から始まったと伺っていましたが、自分も汗だくになりながら感じたのは、「心で繋がる仲間がいて、その人たちの顔を思い浮かべることで、市場価格の多寡とは異なるモチベーションを獲得されているような印象を受けました」すなわち、労働として何を行うかは大事なことですが、それよりも【どのような人との間柄の中で働きたいのか】ということが本質的にその人のやりがいや幸福感と関係していることを改めて思いました。



自分のこれまでのアズワンとの関わりを振り返ると、探訪デー、持続可能な社会づくりカレッジ、サイエンズセミナー、そして今回のインターンシップと本当にわずかな「見る・聞く・学ぶ・働く」の経験しかなく、現時点での私の理解に過ぎませんが、アズワンコミュニティの持続可能性(サスティナビリティ)の構成要素を分析すると、①【サイエンズに基づく学び合い】、②【責めの無い・気持ちを聴き合うコミュニケーション】、③【一人一人の暮らし(生活や経済を含む)を支える社会機構】、が大きな柱だと思いました。

①は、自分の考えや思いはどこまでいっても自分の捉え方でしかなく、また同様に他者の考えや思いもどこまでいってもその人の捉え方でしかなく、これまでの社会観や人間観(こうあるべき)も含めて、決めつけや固定観念を排除して、実際どうなっているのかをゼロから、他者と共同で探求していこうとする学び合い

②は、対立せずに共に働き共に暮らしていくために必要となるコミュニケーションの核心

③は、人間の暮らしはどんなに温かい気持ちがあっても、それだけでは成立せず、一人一人が経済的なことも含め、安心安全に暮らしていくことを可能にする社会機構



これらの①~③はコミュニティの形成の中で、相互に連関しながら、固定化せず、それぞれの内実の試行錯誤が繰り返されたものと思います。そして、そのプロセスにおいて、各個人も自分らしい生き方を知り、どのような人との間柄で生きていきたいのか、そしてそれを実現する社会をどのように創っていきたいのかを15年の歳月を経て、具現化してきたのが今日のアズワンスタイルに表れていると思いました。

さらに今後を見据え、持続可能性の要素を追加すると、④【来訪者との価値共創】があると感じました。特にコミュニティに留学生として深い学びのある暮らしと労働を体験するライフスタイルは、本人の学びはもちろんのこと、各地域で同じ思いをもった人たちが連帯していくきっかけにもなると感じました。




以上、後半部分は持続可能性(サスティナビリティ)についての自分の分析を述べました。書き出したら止まらないので、この辺で終了しますが、今回のインターンシップで深まった理解を下に、冬にはコミュニティで暮らしている人々にインタビュー調査(修士論文)をさせて頂きたいと考えています。ご都合のつく方はぜひご協力のほどよろしくお願い致します。
~猛暑を乗り切って下さいね!!~
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