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「介護×演劇」で人に寄り添う体験


理想の暮らしを語る会4月度公開講座

理想の暮らしを語る会と三重県総合文化会館のコラボで開催された「介護に寄り添う演技体験講座」が4月20日、鈴鹿カルチャーステーションでありました。講師は「老いと演劇」OiBokkeShi主宰の菅原直樹さん。後半のトークセッションでは、サイエンズスクールの福田博也さんも登壇しました。介護関係者も多数集まり、賑やかな会になったようです。理想の暮らしを語る会のフェイスブックに公開されているレポートを紹介します。



講師の菅原直樹さん

心の内を物語としてとらえなおすコミュニケーションへ
(今井亜子・理想の暮らしを語る会)

介護×演劇から、人間らしい本来の姿を体験する菅原直樹さんのワークショップを、三重県総合文化会館とのコラボで開催しました。
前半は演劇体験する人達と見学者に分かれて、身体を動かして遊ぶ大切さを見せてもらいました。
見学者より、体験者の方が人数が多い会場は、爆笑に次ぐ爆笑で、思わずそれぞれの素の部分が溢れて来るといった愉快な時間でした。

後半は菅原さんと同年代の福田博也さん(NPO法人サイエンズスクール代表)と、韓国から人間の本質を学ぶためにサイエンズスクールに通っているパク・ジンスンさんとのトークセッションが行われた。
介護現場での規則や時間に追われて、「~しなければならない」「~してはいけない」といったものからでは、相手(認知症)の世界に飛び込めないのではないだろうか、、など自分の内面と相手の内面を、「物語」として捉え直すコミュニケーションの話に会場は深く引き込まれて行きました。

会場からも介護施設運営者から、施設側の時間に利用者が合わせるのではなく、利用者の世界の時間に合わせるといった新たな試みをしているという発言もありました。
その方が介護者もゆったりとした心境を得られ、どちらも満ち足りるという働きかた改革にも話が及びました。
参加された方は介護関係者が多く、介護から見る人間関係の本来の姿を考える機会になったのではないでしょうか。

菅原直樹さん、堤佳奈さん、福田博也さん、パク・ジンスンさん、そして参加してくださった皆さん、ありがとうございました。


遊びを取り入れたワークショップ
◆義母の内面の世界を思う(津市・主婦)

楽しい介護演技体験でした。
義母も年相応に変わってきているので、彼女の中では彼女の世界があるのだと理解することができ少し反省もしました。
義母が変わっていくことは仕方がないこと、それを受け入れて自分が変わればなんとか明るく乗り切れるのではと思いました。
介護職の方々は沢山の入居者さんと関わりながら、皆さんの食事、入浴、排泄の介助などと時間に追われる中で大変だと思いますが、美里ヒルズさんの入居者さんを中心にした取り組みに感銘を受けました。私ももしお世話になるのなら美里ヒルズさんでと思いましたよ。
我が家も時々義母が「食事はいらない」というのですが、そんなときは「残念やねぇ」と言いつつ、私は義母の目の前で食べて、「美味しいわぁ、なんと美味しい❣️」と言いまくると、食いしん坊の義母は気になるみたいで食べにきてくれます。
意地悪な嫁、食いしん坊な姑の食事バトル、今のところ食事に関しては嫁の勝ち(笑)
これは長く一緒に暮らしてきたからできる必殺技かもです(笑)
またこんな集いがありましたらぜひお声掛けをお願いします。
とても勉強になりました。

◆コミュニケーション技術を学んだ感覚
(世古口正臣・美里ヒルズ施設長)

演技という切り口はやっぱり新鮮で面白いと思いました。
ケア職にとって、自分の普段の関わり方を俯瞰で見ることができる、客観視できる体験でした。
あと、うまく表現できないのですが…
嘘か本当かなんてのは大した問題でないな、どっちか決める必要も無いなと思えました。
嘘をついているのではなく、相手の言葉、世界をポジティブに受け止めるトレーニングなんだと思いました。
受け入れようとするのはシンドイけど、受け止めるだけなら(びっくりすることはあっても)そんなに難しいことではない、そしてそれを相手に(受け止めていることを)言葉で伝えるコミュニケーション技術を学んだ感覚です。
相手が私たちケア職に対して、味方でいてくれる(わかってくれる人がいる)と安心感を持ってもらえるようになれる技術ではないでしょうか。
またやってみたいです!


演技体験(介護者と認知症の人との会話)

◆日常会話にもある人に対する姿勢を考えた
(岩田隆・アズワンネットワーク鈴鹿コミュニテイ)

遊び半分のワークショップは、見てるだけでも楽しめた。
認知症の人に対して、「演じる」という行為で、接することで、相手を受け入れることが出来る、ということを学んだ。
それは「技術」というよりも、人に対する「姿勢」ではないか、菅原さんが言うう。
介護者が、ボケ老人に、「食事ですよ」と誘う。
老人は、「私、主人の子供を作りたいの」と答える。
(会話は成り立ってない場面)
この時点で、人を受け入れるのか、正しいことを言って説得しようとするか、道が分かれる。
受け入れようとすると、会話は、相手の話を聞くほうに進んでいく。
ボケ老人の内面の世界は、“まだ自分は若くて子どもが作れる”と思っている。
そういう双方が食い違う場合と寄り添う場合の両方を演劇という形でやってみることで、その場合の気持ちを体験する、というワークショップだった。
端で見ていたが、これは、相手が認知症でなくても普段の会話でもありうる話だ、と思った。
ときどき、自分の感覚とは違うことを聞くことがある。
そういうとき、それを正そうとするか、相手に寄り添うか・・
お互いに気持ちが通じ合っていくと、気持ちが動いていくふうでもあった。
心を開いていく。
後半のトークショーでは、菅原直樹さん、福田博也さん、パク・ジンスンさん、人とのコミュニケーションという点で、菅原さんの演劇と重なってくる。
今日は良い体験ができました!

◆「その人の物語」と気づくと
(辻屋康子・理想の暮らしを語る会・昨年の「老いのプレーパーク」にも参加)

翌日私は今年の「老いのプレーパーク」に父とともに参加するため三重県文化会館に行きました。そこで菅原直樹さんが昨日の鈴鹿でやった介護に寄り添う演技体験講座の中で「その人の物語」って気づいてると、どっちの物語りでやってみようとするかってことに軽くなるみたいなこと言ってて、私は物語りって言うのが、しっかり残ってたので、面白かったです。
それぞれの頭の上に吹き出しが見えてくるみたい(happy)(happy)
吹き出しを考えると、楽しくなるね。
昨日は父も参加したけど、なんか時々スイッチ入ったりして面白いです。
脳が衰えると、かえって吹き出しが少なくなるようで、その場とは違うのが浮かんでるのかな…って思います。観察が面白いです。
菅原さんは今年は学校でもやろうとしてるらしく、子供達や先生方にも良い効果を与えるのでは…って思います。


トークセッション(左からパクさん、福田さん、菅原さん)

◆人を知ること、寄り添うことから
(パク・ジンスン・トークセッションメンバー)

介護や教育と呼ばれる行為を通して、私たちはその人とどういう関係を作っているのか。演技という技法を通して、私たちは何がしたいのか。
人と人のコミュニケーションというものは、そもそも、何をやろうとするものなのか。…などを考えさせる有意義な、楽しい時間でした。また続きも一緒に考えていきたいですね。またドキュメントの中で、奥さんが人参をよく食べるということを60年ぶりに1年前に初めて分かったという"おかじい"の話が、非常に響きました。人を知っていくということは、その人に寄り添うことから始め、終りがないことかなとも思いました。

★関連HP
★「人としての成長をサポートする」NPO法人サイエンズスクール
★理想の暮らしを語る会
★アズワンネットワーク鈴鹿コミュニティ
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