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ゆっくり行こう ♪♪♪

1月30日から8日間、韓国江華島のサンマウル高校からコミュニティ体験にやってきた学生が感想文を送ってくれました。その一人の感想を紹介したいと思います。
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鈴鹿で過ごした8日間       キム・ヒジン

似顔絵私は20歳(日本の年齢では18歳)になりました。
韓国で20歳は大人です。
運転もできるし、
見たい映画も思い切り見れるし、
お酒ものめるけど、
私はそういうことが楽しみに思えませんでした。
山の中にある小さな学校で、
毎日同じように過ごす一日一日が、
楽でよかった。
でも、もう学校を去らなければならないことや、
これから属するところも無いというのが怖かった。

 (岩田さんがプレゼントした似顔絵)

自分の未来を一生懸命準備している友達の間で、
どうにかなるだろうと気楽な振りをして過ごしていたけど、
本当は、心がますます不安になっていました。

いつも私だけが遅いんだな、
卒業したら私はどこへ行けばいいのだろう?!
無理やりに何とかやろうと思いましたが、できなかったです。

メンバーとそんなある日、教室の掲示板で
「鈴鹿コミュニティ体験募集」を見ました。
見た瞬間、「行きたい!」と思ったけど、
勇気が出ませんでした。
諦めようかと思ったけど、
結局、申込書に名前を書きました。

鈴鹿に行く前まで、
「友達より遅いのに、のんきに旅するなんて・・・」と心苦しかったです。
周りの人の顔色が気になったり、
自分自身もこの旅の意味がわかりませんでした。

でも、このアズワンコミュニティ体験から帰ってきた今、
自分を振り返り、そして生きていくことのもっとも重要なものについて考えてみます。
【SCSカフェ サンスーシ】
職場体験、私はカフェサンスーシで働くようになりました。
初めて行く時は、すごく緊張したけど、みえさんがやさしく説明してくれました。
メニューとか、コーヒーの入れ方も教えてもらいました。
コーヒーが好きでいつも飲んでいたけど、コーヒーを入れたことはありませんでした。
韓国でやりたいと思っていたことを鈴鹿で学びました。
カフェサンスーシ
 (カフェsan-suciとお茶室)

お客さんが来ると、
緊張してどうすれば良いかわからなかったときのことを思い出します。
初めて注文をもらった時は、どれほどドキドキしたことか・・・
「何にしましょうか?」が覚えにくく、寝る前にも暗記しました。

サンスーシーカフェで三日間仕事しながら感じたことは、
「楽さ」と「安心」でした。

カフェに入ってきた人はみんな、コーヒーを飲みながら楽に座って、
ゆったりと楽しんでいるように見え、
「ここはあたたかくて安心できる所だな」と、思いました。
みえさんにサンスーシーカフェの意味を聞いてみると、
「安心(気楽な)」ということでした。
みえさんと

みえさんは、いつも美味しいサンドイッチとコーヒーを作ってくれたし、
暖かさ(やさしさ)もくれました。

仕事をするのがこんなに楽しいことだということを、生まれて初めて感じました。
カフェに出勤する朝が楽しかったし、
時間があるときは自分についても考えられました。

手紙1みえさんとたくさんは話せなかったけど、
表情で心が繋がっていると感じました。

みえさんに気持ちを伝えたくって、
苦手な日本語で手紙を書きました。
(日本語が多少出来るソリちゃんに聞きながら)
 *写真をクリックすると文章が読めます→→→

今振り返ってみると、伝えてない話もたくさんあって残念だけど、私の本心を伝えて良かったと思っています。

【本当に好きなことを!】
自分の好きなこと(やりたいこと)をすることができるだけで、
そこはもう楽しいコミュニティになるのだろうと思います。

私は、約18年生きてきて、自分が好きなこと(やりたいこと)、
少しはわかっている気がします。
でも、生きていて、自分が本当に好きなことを見つけて、
それをするのは難しいだろうと、いつも思っていました。

私の目から世界を見たら、
みんなが同じことを目指しているように見えます。
太鼓1良い大学、良い仕事、
その後の経済的に豊かな老後生活など。

人々はいろいろであり、
一人一人思うこともちがうけど、
どうして私たちは子どもの頃から、
同じものを学んで、
同じ道に導かれながら、
同じ基準で
評価されなければならないんだろう?!

そう思って、苦しかったです。

人は一人一人ちがうのに、
同じ基準で評価されなければならない世の中で、
果たして人々は自分が本当に好きなことをすることができるのだろうか?!

これからの人生、私は自分が心から好きなことをしながら暮らしていきたいです。

まわりの人たちからよく聞く、「遅すぎるんじゃない?」という言葉も気にしません。
遅くなっている気持ちにあせって、やりたくないことをしながらは生きたくないです。

自分がやりたいことしながら幸せに生きていく鈴鹿コミュニティの人達を見て
初めて感じたのは、「安心」でした。
ふぁみーゆ鈴鹿
 (ふぁみーゆ鈴鹿にて)

行動も遅いし、自分の未来についての準備も遅いし、
したいことが何かもわからないですが、
ゆっくりたくさんのことを経験しながら、
お金が足りなくても幸せに暮らしたいと思いました。

そして、鈴鹿コミュニティの人々に感謝です。
いつも不安だった心が落ち着き、
本気でやりたいことを見つけたいと強く思いました。


【新しいコミュニティ】
私は、中学時代を都市コミュニティで過ごし、そこの中学校に通っていました。
そのコミュニティでは、道行く人が知り合いで、学校だけでなく、
学校以外でもたくさんの人に助けられながら過ごしました。
お茶席にて
 (お茶会にて)

ただ、そこで過ごしながら、
「みんながよく知っている仲(間柄)だけど、
近しいだけにやらなければならないことがある」
と感じていました。
自分がしたくないとか、大変でやりたくないと思っても、
近い仲だからやらないわけにはいかなかったことがありました。

でも、鈴鹿では、みんなが自分の状況(気持ちや思っていること)を正直に言って、
それを聞いた人は、正直に言った人を十分理解して、配慮していると感じました。

本当は、一緒に何かをする仲間の中では、
配慮ということがもっとも大事だと思いますが、
仲がよい関係だといって、頼みを拒否できなかったり、
何かを一緒にする場で、
自分の意見を堂々と明らかにするのが難しくなったら、
コミュニティの生活が疲れていくかもしれないからです。

送り出し会2
 (コミュニティに愛されて・・・)

鈴鹿コミュニティでは、
みんなにオープンにしている雰囲気を感じました。

コミュニティの中に誰かが入ろうとすれば、
特別なプロセスもなく、
コミュニティを去りたい人があれば、
その人にも無理が無いように・・・、

鈴鹿コミュニティは、そこに居たい人が過ごしていると感じました。

いろんな人がやってきたり、去ったりするけれど、
それが大きな問題じゃなくて、
今一緒にいる人々と、しらべながら楽しく生きていくという感じでした。

多分、このようなことが鈴鹿コミュニティをより安心な、
配慮あるコミュニティにならしめたのではないかと思いました。

【ホームステイ】
鈴鹿で過ごした楽しい思い出はいっぱいあるけれど、その一つ、ホームステイ。
中井さんの家に行って夕飯に天ぷらそばを食べました。
キッチンでてんぷらを一緒につくり、おかずを運び、夕食の準備をしましたが、
私を家族のように接してくれたように感じ、うれしかったです。

天ぷらそばみんなが集まって、
そばをズルズル音を立てながら食べるのが
おもしろかったです。
韓国では音を立てて食べる作法が無いので、
音を立てないように気をつけなければならないのだけど、日本は音を立てながら食べるのが美味しいということらしく、がんばって音を立てながら食べました。

ご飯の後は、みゆきさんが遊びに来てくれて、通訳をしてくれました。
実は、日本語が全然出来なくて、一言もしゃべれなかったらと心配だったけど、
中井さん家族とこたつに入って、結構たくさんの話をしました。
韓国では、自分の本音を分かち合う大人がほとんどいないけれど、
鈴鹿にいる大人たちには、不思議と心を開けていろんな思いや考えを話せました。
ウクレレ2それは、多分、私が話をしたら真剣に一緒に
考えてくれたからではないかと思います。

話の後は、「ゆっくり行こう」を歌いましたが、
やはり言葉で通じなくても
心は通じていると感じました。
ウクレレを弾きながら、一緒に歌いながら、
こんなことを思いました。
幸せに生きていくのに、大変な努力は要らないかもしれない。
私は今、あたたかい人々と楽しく歌を歌っている。
ここはあたたかいし、美味しいプリンもある。
こういうのが生きていて、
一番大きな幸せかもしれない・・・と。


【韓国に帰って】
鈴鹿から帰って、いつの間にか一週間が経ちました。
ソウルでも、私は、普段と変わらず過ごしています。
でも、少し変わりました。
実は、鈴鹿にいるときよりも心は少しずつ急いでいくけれど、
鈴鹿で過ごした時間を思い出せば楽になります。
「ゆっくり行ってもいいよ」と言ってくれた鈴鹿の人達のおかげです。
作品生花作品
 (アート体験のひょうたんで作った作品)     (生け花体験の作品)

私の人生の中で、「余裕(ゆとり)」と言うものが入った(出来た)ようです。
寝ようと思って横になると、しきりに思い出します。
歩きながら会ったコミュニティの人々、
カフェサンスーシーのコーヒーの香り、
節子さんが作ったリンゴジャムも・・・。
伊与田夫妻
     (伊与田夫妻が見送りに)

鈴鹿での一週間は、あっという間に過ぎましたが、
その短い時間は、私に多大な影響をもたらしてくれました。
日本語の勉強もして、
韓国で行われるマイライフセミナーにも機会があれば参加したいです。
そして、いつかまた、鈴鹿に行きたいです。

鈴鹿で8日間を過ごしながら、たくさんのことを感じ、学び、考えました。
また、泊まるところ、行くところが、私たちを親切に受け入れてくれ、
よく食べ、よく寝て、たくさん笑いました。
20歳になってから行ってきた鈴鹿は、
どうやら私にとって、新しいスタートになったようです。
すべてのことがありがたくて、このレポートに書ききれないのが残念です。

送り出し会で一緒に歌を歌った時、こんなふうに感じました。
一日一日、瞬間瞬間がとてもあたたかかったし、
学ぶことが出来たし、私に新しいものをもたらしてくれたと。

ゆっくり行こう
     (ゆっくり行こう ♪♪♪)

本当にまた会いたいです。そして、また鈴鹿に行きます。
韓国に来る鈴鹿の人々とも会いたいし、
韓国の人々と韓国の人々の集まりが出来たら、ぜひ参加したいです。

今、時代を一緒に生きている人が集まって、
共に生きることについて、
人が生きていくのに大事なものは何なのかについて、
これからも考え、学んでいけたらと思います。

鈴鹿コミュニティの皆さん、本当にありがとう。
ゆっくり行けば、少しは遅くても、
一緒に行けば、本当の幸せについて考え、
人生を生きていけば、私たちはきっとまた会えるでしょう。
鈴鹿のことが懐かしいです。
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原文の翻訳は、こちらから見れます。
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