スペースJOYで夕食がはじまった《3》

アズワン鈴鹿コミュニティの暮らし
コミュニティの食を担う弁当屋




JOYの夕食の話を2回に渡ってレポートしてきました。3回目は、その奥にある背景や実現経過を取材してみました。コミュニティの中で、一つのことがどんなふうに実現していくのか、そのベースになっているものは何か、理想を実現する方式「サイエンズメソッド」がどのように働いているのか、探ってみたいと思います。

JOYで夕食を出したいと言い出した弁当屋のTさんに聞いてみました。


◆社会の中の弁当屋をもっと生かすには

 ――どうして、夕食を出したいって思ったの?

 Tさん きっかけはサイエンズスクールのコースの一つ、「社会を知るためのコース」で、そこにいた人たちから、「JOYで夕食が食べられないかな」って何気なく出た。
「夕食があると便利だな」とか、「一人暮らしの人だったら、出来たてのご飯があったらいいな」という声があって、そこから発展した。

社会の中のおふくろさん弁当とはどういうものだろう? 何を求められているのか? どういう役割が出来るのか? もっと発揮できるものは何か? 弁当屋をもっと生かせるものとはどういうものだろうか?考えた。

広い厨房があって、一回に何十キロと揚げられフライヤーや、釜やオーブンがあって、設備もある。でも夕方は一通り調理が終わって、機材は使ってなかった。それってもったいない。その一方で各家庭で、ガス、水道、電気を使って、それぞれで調理している。それだったら、一カ所でそういう場所があったら、そこで作って、それぞれの生活スタイルに合わせて活用してもらえる。

ゆくゆくは、コミュニティの家から台所をなくして、家から包丁をなくして、全部おふくろさん弁当でやるくらい、そこまでいったら面白いのかなーー、なんて。
なんかそういう国もあるみたいで、家にキッチンがなくって屋台で食べてる国とか文化がね。そこまで描いてやれたら面白いなー。

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スペースJOYで夕食がはじまった《2》

アズワン鈴鹿コミュニティの暮らし
自分らしく、その人らしく




「その人がもっとその人らしく暮らせるように…」
そんな願いがあって実現してきたJOYの夕食。関わる人たちの中にある気持ちです。

毎日の夕食づくりは主婦の悩みの一つとも言います。「今日の夕飯は何にしよう?」と考えるところから、買い物、調理、後片付けまで、かなりの仕事です。

「そういう時間を、その人がもっと本心でやれることをやってほしい」
と、みゆきさんが話していましたが(前の記事参照)、本当にそれが実現できれば、主婦は解放されるでしょう。

というわけで、JOYの夕食に来ているお母さんたちに話を聞いてみました。

子どももお母さんもゆったり

舞子さんは1歳半の子を持つお母さん、岸上拓也さんとの3人暮らしです。夕食がある日はほとんど利用しています。

「うん、すごく助かる。子どもが一緒だから家で作るときは、子どもの世話もしながらだから、同時にはなかなかできなくて。片づけもあるしね。ここに来ると、ご飯食べ終わっても、子どもは遊んでたり、他の人が見てくれてたりして、ゆっくり出来る」

ご主人の拓也さんも―
「夕食作っているときは、子どもを俺に見てって言われるけど、子どもの方は、スーッとお母さんの方にいっちゃうしね。舞子さんも、毎日作るのが得意じゃないみたいだから、JOYの夕食があるときは、ここで食べるのがいいなって思ってる」

ご飯づくりが得意な人とそうでない人、確かにそういのはありますね。
舞子さんは、最近、職場がサイエンズスクール事務局になり、夕方5時まで職場に専念しているそうです。それも、JOYの夕食のお陰だとか。

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スペースJOYで夕食がはじまった《1》

アズワン鈴鹿コミュニティの暮らし


コミュニティスペースJOYでの夕食風景

◆温かいご飯と味噌汁と

「今日から夕食始めます、メニューはチキンライス、肉団子と白菜スープ、ブロッコリーです。どうぞ」

LINEグループにそんなコメントが流れたのは1月28日のこと。コミュニティスペースJOYで夕食を用意してくれるというのです。昨年、JOYのスペースが広くなり、昼食で賑わうようになりましたが、今度はそのテーブルを囲んで夕食も。今のところ週4回ペース。(スペースJOYの説明と前回の記事はこちらをクリック

その場を直接用意しているのは、おふくろさん弁当のみゆきさん。弁当屋で調理した料理を運び、テーブルに並べ、みんなが来るのを待っています。6時になると人が来はじめ、一人ひとりに声をかけては、ご飯や味噌汁、時にはおかずをよそってくれます。熱々出来立てです。(接待してくれるのは、同じ弁当屋の絵里ちゃんやJOYのマミーが入ったりしています)

アカデミー生が食べに来たり、家族で、夫婦で、子ども連れで、独身の人も、コミュニティの滞在者がいることもあります。年配の人から、若者から、子どもまで、世代の違いも感じず、食べながらよく喋っています。会話が弾んで、とても賑やか。
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「サイエンズを学びたい」ブラジルから来た青年


「人間社会の問題を根本から解決できるんじゃなか」、そんな思いではるばるブラジルからやってきた青年がいます。フェリックス君、20歳。サイエンズアカデミー生としてこれから鈴鹿コミュニティで暮らしながら、サイエンズを学び深めていきたいそうです。その最初に、先日、アズワン鈴鹿ツアーに参加しました。



3月15日ー16日アズワン鈴鹿ツアーで。フェリックスとお母さんのマルセリン

 ――ツアーに参加してどうだった?

 フェリックス みんな心からオープンで、温かい気持ちが伝わって、安心していられるのが気持ちいいです。
コミュニティのことは、ブラジルのみんなに聞いていたので、だいたい想像はついていましたが、やっぱり実際に来ると、すごい違う感じです。
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「“みんなで悟ろう”という発想が新鮮!」



春の訪れと共に、各地からアズワン鈴鹿コミュニティを訪れる人たちも続いています。ツアー参加者に、その印象を聞いてみました。



3月9日~10日、アズワン鈴鹿ツアー 参加者のみなさんと

お金の縛りからどう解放?

 ――今回ツアーに訪れた動機は何ですか?


 Hさん 人との調和、お金の縛りからの解放について知りたくて、です。

 Uさん 友人の友人がこのツアーに参加したと聞き興味を持ちました。はこぶねコミュニティを広げたいと思っていた際、アズワンコミュニティの存在を知り、何か学びになることがあるかなと思い参加しました。


◆“みんなで悟ろう”の発想が新鮮

 ――ツアーに参加して、印象に残ったことはありますか?

 Hさん 皆さんの声がおだやかでした。話し合う大切さに気づくとともに、各々が自分の本心を・本質をみつめ、確かめることがさらに大切だと思いました。

 Uさん ほとんど全く前知識がなく、流れで参加することになりましたが、人間関係において、“みんなで悟ろう”という発想が新鮮でした。みんなが迷い・不安・恐怖無く本質そのもので生き生きとされてるなと思いました。今の社会を“幻想”ととらえ、そこから抜けていく考えは他のいろいろなものとの共通点を感じました。
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「フラットな関係性をどう築く?」アズワンツアー


「フラットな関係性を望んでいても、なかなかそうならないのは何故?
仕組みややり方を考えてきたけど、そうではなかった」と、今回アズワン鈴鹿ツアーに参加したDさんのお話しです。(記事:いわた)


3月2日~3日のアズワン鈴鹿ツアー参加者とスタッフ

いつもと違う心持ち

 ――2人のお子さんと参加してどうでしたか?

Dさん 子どもを受け入れてもらって、子どもの方もすんなりと馴染んでいけました。スタッフの方に子どもの様子を聞かせてもらい、それもよかったです。

今朝は、いつもと違う心持ちで、子どもにやさしく接することが出来ました。こういう感覚でやっていけたら、お互いに穏やかな関係になれるのかなって思います。

身近な子どもで感じられたので、夫とも、また、自分のコミュニティ活動の中にも落とし込めていけたらなーって思います。どう作用していくか、ワクワク楽しみな感じが芽生えました。

本当はフラットな関係性にしたい・・

 ――地域での活動も活発そうですね。何か活かせそうなことはありましたか?
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高齢者の居場所と子供食堂から探る「居場所の力とは?」(後半) 



◆居場所の力と本人の力

司会進行役の中井さんが、自分の関心事を各パネラーに質問していました。
子供食堂の伊藤さんには、子供を“褒める”ことについてどう思うか?と。
伊藤さんは「形だけ褒めたとしても何が子供に伝わっているか、それよりも一緒になって楽しんだり共感すること。子供の方がピュアで発想も豊かです。そこを大事にしたい」と返していました。


理想の暮らしを語る会の中井正信さん



中井さんは、様々な観点で質問をぶつけていました。子供を叱ったことでその子の中に何が残るのか。社長夫人だった人が認知症になり施設に入ったが、社長婦人のままの態度で施設職員を叱ったりして居られなくなった、その人のアイデンティティとは何だろう?など。
本人の力と居場所の持つ力の関連の中で、自分が認知症になっても、そうなる前に本来の自分を知っていければ、認知症になっても周囲の人と仲良く暮らせるのではないか。そういう本人の持つ力と、居場所の力によって、その人も周りもラクに暮らせられないだろうか。そんな内容だったと思います。
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高齢者の居場所と子供食堂から探る「居場所の力とは?」(前半) 


2月度公開講座パネラー



◆安心した居場所はどうやって?

人生最期まで自分らしく、そう生きられる地域社会にしたい。そんな願いで活動する「理想の暮らしを語る会」の2月度公開講座が2月23日、鈴鹿カルチャーステーションで開かれました。今回は「自分らしく暮らすには、『居場所と安心』が不可欠」をテーマに、高齢者の居場所づくりに取り組む西村美紀子さん、子供食堂の活動を続けている伊藤美枝さん、人と社会の本質を研究するサイエンズ研究所の小野雅司さん、そして理想の暮らしを語る会メンバーでケアマネの森原遼子さんをパネラーに3時間半に渡るディスカッションがありました。

安心した居場所がどのように作られ、どのように自分らしく過ごしているのか、その実践例が各パネラーから紹介され、会場とのやりとりの中でテーマを深めていきました。浮き彫りになった事は、安心できる場所が居場所となり、そこでその人がその人らしくイキイキとしてくること。そういう場を運営する人たちには、「人が好き」という愛する心があることでした。パネラーの発表をザックリと紹介します。


「協」の西村美紀子さん

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