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2ndCSS「社会・人間・心の“豊かさ”を探る」~科学技術の先にあるものとは~《1》




2nd Crossover Study Sseeion (CSS)
「社会・人間・心の“豊かさ”を探る」
~科学技術の先にあるものとは~ 《1》


◆プロローグ 

2ndCSSには、内藤正明さんが駆けつけて来てくれた。
(内藤さんについてのプロフィールはこちらを参照>>>http://www.kiess.org/about/naito//CSSについては1stプロローグを参照>>>http://www.scien-z.org/sb02/log/eid611.html
京都大学名誉教授でもあり、現在は滋賀県琵琶湖環境科学研究センターのセンター長を務めている内藤さんは、アズワンネットワークの良き理解者であり、鈴鹿コミュニティのコミュニティセンターとなっている鈴鹿カルチャーステーションの起ち上げには、立案から尽力していただいた。学者研究者としては、エクハルト・ハーン博士とともに、第一号の協力者とも言える。

今回CSSに先立ち、この4月より開校された「サイエンズアカデミー」を見学してもらい、若き研究者の卵でもあるアカデミー生とも懇談会の場を設けさせてもらった。

Study(研究)には、もともと隔てや垣根などない、内藤さんとアカデミー生達も?十歳の歳の差を超え、時が過ぎるのを忘れて語り合った。

その中で、最後に内藤さんがアカデミー生達に、二つの課題を投げかけた。

健全な社会をつくるための二つの課題

一つは『人にとって社会にとって「科学技術の役割」とは何か?』です。これまで技術は無条件に人の役に立つものという認識で仕事をしてきました。ところが、どんなに技術的に優れているといわれるものでも、公害などを引き起こしてきました。技術者は技術的に優れていることだけを考えて開発してきましたが、それが本当に社会にとって有用かどうかを明確に意識して開発してきませんでした。しかも、社会といっても、“誰にとってどのように役立つか”をきちんと考えてはこなかったし、いまもそうではありません。そのことをこれからはどう考えるかが、大きな課題です。

もう一つは、『社会的弱者を切り捨ててはいけないのは何故か?』という課題です。一昨年でしたか、相模原で一つの事件が起きました。知的障害者福祉施設に、元施設職員の26歳の男性が侵入し、所持していた刃物で入所者19人を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた大量殺人事件です。そして、彼は、「障碍者は社会的なお荷物で、生きるに値しない命だ」というようなことを言い、ネット上などでもこの意見には賛同する人が多かったと聞いています。

知的障碍者や身体的障碍者など社会的な弱者は、「社会的に有用か」という今までの価値観からすれば、必要のない存在なのかもしれません。

では、そういう彼らも共に生きていく社会の基調となる価値観や、考え方はいったい何なんでしょうか?

ここで、若い皆さんへの問いです。この二つは現代の大きな課題で、これからの社会を“健全(この定義もまた難しいテーマ)”なものとしていくためには、この答えを皆で考えておくことがどうしても必要でしょう。なお、この二つの命題は、実は異なるようですが、根っこのところで繋がっていることに気付くでしょう。

この問題提起に対して、皆さんと答えを求めて議論していくのが、この講座の最終目的です。
(つづく)

この記事は、これから連載でお届けします。次回以降お楽しみに!
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