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恵共同体、アズワン物語〈5〉「準備の中にある目的」



「計画通り進むのがツアーの目的ではない」

恵共同体の受け入れについては、こちらでも緻密な計画を立てていたが、恵の人たちもツアーの計画から相当の準備をしていたように思う。
当日を迎えるまでも、双方に情報交換をし、連絡を取り合った。

鈴鹿でも、彼らがどんな動機や目的で来るのか、また、ツアー中の暮らしのことなど一人ひとりを把握しようとアンケートを出して、それにも丁寧に応えてもらった。ここには韓国のアズワンネットワークコリアのメンバーも入って両者の間を取り持ってくれていた。こうした3者の情報交換によってお互いが知り合うことが出来た。

当日歓迎式の中で、恵のツアー実行委員の代表が、その事前のやりとりをこんなふうに語っていたのが心に残る。

「81人の多くの人が団体で来る場合、一人一人を把握するという発想はなかった。一人ひとりに対して興味を示してくることが印象的だった。
10分くらい歩きますが、歩けない人はいませんか? みんな歩けますか?とか。食べ物のアレルギーがある人はいませんか?とか。
その他、一人ひとりに気をかけてくれることに対して、準備の段階から感動がありました」と。

そんな話しをしてくれた時、こちらの要望を誠実に受け止め、それに応えようとしてくれていたことがとても嬉しかった。ツアーで何をお互いがやろうとしているのか。ここに来る以前から既に始まっていたのだと改めて思った。

ツアー中の計画は綿密に立てていたが、それはあくまでもフィクションだ。先の予想というか、目安でしかない。私達は、計画通りに実行することをしたいわけではなく、どんな状況になっても、その中で実現したい「目的」がある。
そのことを、このツアーを通して、学ばせてもらったように思う。

恵の全員が来る、その前日に子どもたち19人が前泊組として来ることになっていた。その子ども達を迎える時から早くも、予想外の展開となった。予定の時刻の電車に乗れずに夜遅くに到着する。その知らせが届いたのだった。つづく(文・いわた)
韓国恵共同体81人のスタディツアー!
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