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経営コンサルタントが語る3つのユニークな会社経営


前回紹介した『「おふくろさん弁当」講演会、現場社員の反響は続いている?』の続編を〈ようゆう会世話人代表〉の滝澤道幸氏より頂きました。
「何よりも話し合いを優先する会社」が日本のもう一つの経営マネジメントになり得るのか、問いかけています。


2017年11月10日、岸浪龍(おふくろさん弁当社長)さんと、さっきーさん(同、社員さん)に、鈴鹿から春日井市まで、わざわざお越しいただきました。
あらためまして、御礼申し上げます。

その後、今になっても、ご講演の反響がつづいています。
前回ふれた、M部長に“行かされた”社員たち6名は…といった感じで書いたのは私の予断で、むしろ初めから現場社員たちは積極的だったとのこと。M部長が現場から遅れてやっと最後に参加。まったく強制していないのに中途の新人はじめ席の真ん前から座っていた、とのことでした。てっきり、「前から座れ」との事前の指示があったと思い込んでいました。
あるコンサル系の事務所からこられた社員は、ことあるごとに社内でおふくろさん弁当のことを引き合いに出しているそうです。その様子を、じっと見守るY社長。
つぎつぎと新商品を生み出し世界的に成功をおさめているI社長。めったに他の経営を褒めないかたですが「うちの目指しているものと同じ会社が」と奥様に報告されたそうです。
また、ある経営者は、「社員を連れてこなくてよかった・・・」と。おふくろさん弁当のような会社のことは、社員に知らせないほうがいい、と考える社長さんも現実です。

わたくしどもの「ようゆう会」、じつは名古屋弁の「ようゆう」からとっています。
「よく言う、なんでもよく話す、そこまで言うか?(ようゆうわ!?)」といった感じの意味で、「参加者どうしの話しあいのきっかけをつくり続け、信頼関係を深めたうえでより良いビジネスにつなげよう」という主旨ではじめました。丸8年になります。

まさに、今回の「何よりも『話し合い』を優先する会社」というテーマ、会の主旨にピンポイントでした。

また、私は、報連相(報告・連絡・相談)を専門とする変わりものの経営コンサルタントで、たとえば「話しやすさ≒相談しやすさ≒チームで問題を未然に防ぐ」といったことも経営指導の守備範囲です。いちおう、経済紙などにコラムも書いてきました。

これまでのようゆう会での、著名な経営者のご講演と、今回の龍さんさっきーさんのお話しとの共通点など、少しでも皆様のご参考になればとおもい書きました。
やや客観的、コラム風の書き方ですみません。

以下、雑文ですが、お目とおしいただけましたら幸いです。
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その会社「おふくろさん弁当」(鈴鹿市)はこれまで、ようゆう会にご登壇いただいた経営者の中でも、未来工業やヴィレッジヴァンガードの創業者以来のユニークさでした。

上の3社は、いずれも、
「人がやる気になる環境をつくるにはどうしたらいいか」といったことを、キレイごとではなく、もっとも重要な経営者の課題・責任として考えつづけ、実際の経営に具体的に生かしてこられた会社ではないか、とおもっています。

また、「やる気」とは、人の「働くきもち・こころ」に向き合って、コミュニケーションの方法(例えば、報告・連絡・相談のあり方)としっかり関連づける重要性を、なぜか分かっている会社、ともいえます。



それぞれのキーワード・・・
おふくろさん弁当は、「人のこころ」 (互いのこころを同じ人間として尊重し何でも話せる関係)
ヴィレッジヴァンガードは、「編集」 (陳列もマネジメントも「編集」)
未来工業はなんと!、「報連相禁止」(コミュニケーションするな!?)

コトバはちがっても、その経営の考え方・行動のユニークさに共通点がある気がします。
私なりに整理すると、

・人が不自由になることを極力なくす・・・
現場の自由が社員をイキイキやる気にさせる。
だから、ルールを増やして縛るようなことは、できるだけなくす。

上がつくったルールは、上下関係を前提とし、上が下を責めるという構図をつくりだしてしまう。
上は「“責“任者」であり、下に代わって「責めをより多く負う」のが本来の姿のはず。

凡庸な経営者は、下をルールや方針にそって追求し、責めることが仕事とおもっているフシがある。

・責任について・・・
長い目でみて、やる気になること、が会社の業績・売上げ(お客様へのサービス)向上にとって第一。

会社の業績の良否は、経営者の決めた経営方針・戦略のよしあしの問題(責任)で、経営者自身の失敗部分とその数字を明らかにせず、逆に数字で現場を責めてばかりいるのは本末転倒である。



・未来工業の「報連相の禁止」(話し合い禁止?)、という奇妙な行動指針について・・・
不自由なコミュニケーションの禁止のことだと、何度も創業者の山田昭男さんと対話しておもった。

「上が勝手に決めた、現場の自発でない報告書、会議、朝礼など」を山田さんはとくに嫌った。
これが本来の意味だが、「報連相禁止」という独特の言いまわしのみが一人歩きして、TV東京の「カンブリア宮殿」を始めとして大きく広がる。

さすがの村上龍(作家、同番組のMC)も、「報連相禁止」には切込みが甘かった(冗談っぽくおわってしまった)。

「なによりもコミュニケーション」について・・・
おふくろさん弁当の社長係、岸浪龍さんは開口一番、「何よりも『話し合い』を大切にしている会社です」と私に言った。会社を見学させていただき、報連相・・・なかでも「相談」がとても多い気がした。

会議、メール、文書がやたら多く、一見コミュニケーションを最優先しているかのような会社・団体はよく耳にする。
現場はこのコミュニケーションのせいで疲弊しているようだ。おふくろさん弁当のコミュニケーションとのちがいは何か。

・コミュニケーションのあり方、やり方の自由・・・
どのようにやるか、やらないか、どんなふうにやるか、までも、限りなく現場の自由(工夫させるのとはちがう)にする。

お客様や取引先との『話し合い』も社内の話し合いと同様、できる限り管理せず、自由にしている。



・素朴な疑問・・・
こんなので、会社は儲かるのか(会社として成り立つのか)、というギモン。

少なくとも、何十年も好業績をあげつづけている未来工業という会社が存在しているのも、現実ー。

おふくろさん弁当は、働く人50数名の、これからの会社。

「話し合いを優先する」経営が、これからどうなるか。

龍さんの著書のタイトル『本当にあった! こんな会社~規則も命令も上司も責任もない!』が、日本のもうひとつの組織マネジメントになりうるのか。

たとえば、ここ最近、K製鋼など一流企業が、品質のルールをねじまげた問題に、おふくろさん弁当のあり方は解決の参考になるのか。

一般の、中小企業がマネできるのか・・・

「何か新しいユニークな経営」を世に問うている気がします。

関心を持たざるをえません。

「もうひとつの経営のあり方」を日々おこない、
多くのお客様に手づくりのお弁当を届けておられる
「おふくろさん弁当」の働く皆さまを、こころより応援申し上げます。

2017年12月20日 ようゆう会世話人代表 報連相コンサルタント 滝澤道幸

ようゆう会 http://yo-yu-kai.org/archives/category/schedule
ようゆう会 愛知県春日井市の異業種交流会FB>>>https://www.facebook.com/youyuukai/

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滝澤道幸プロフィール・・・1962年清須市生まれ。リクルートなどを経て1991年ユマ人材企画(株)設立、代表。報連相コンサルタント。いわゆる「報連相」(報告・連絡・相談)を切り口として経営課題・問題解決に結びつける経営コンサルタント。講演・研修のほか、報連相カンファレンス(事例検討)など独自手法をもつ。最近の演題は、それぞれ、「会社の風とおし、報連相からコンプライアンスを考える」(食品表示問題での幹部約400名向け講演)、「電話をさけメールに逃げていないか(顔の見えない報連相の大切さと実習)」(碧南商工会議所、ビジネス講座)、「上司に気をつかわない報連相ってアリ!?」(A協同組合職員向け、報連相カンファレンス)。指導先・関係先には、四国管財、未来工業など、全国的に知られる会社もある。著書「報連相を経営に生かす」

番外編~ようゆう会30回に登場いただいた浅井院長と、あの昭和の名歌手、あべ静江さんとの講演会~

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おふくろさん弁当の本>>>『本当にあったこんな会社』
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