コミュニティ歳時記 4月号

コミュニティ歳時記4月号
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迎えられる人

“18歳から成人に”
朝のニュースを見ていたら、そんな特集をやっていた。
明治時代から140年間、20歳からとされていた成人年齢が、民法の改正で2022年4月1日から18歳に引き下げられるという。
街角でインタビューに答える高校生たちは、戸惑いや不安を口にしていたが、その特集で扱っていたのは、どうやったら18歳の新成人が犯罪に巻き込まれないかということだった。
親の同意なしで、クレジットカードが作れたり、各種契約ができるようになるので、騙されたり、詐欺にあったりするケースが増えてくる。それに備えて、既に高校の授業では、悪質な手口に対しての対策とか、クーリングオフのやり方とかが組み込まれているという内容だった。
成人になる、大人になるというのは、どういうことだろうか?
そうなるために、周囲社会は何を用意していくことだろうか?

同じ日に、FBで“10年前の思い出”とかいう過去に自分が投稿した記事がアップされていた。時々、FBは勝手にそういうのを載せてくれていて、ほとんど見ることはないのだが、たまたまその日は覗いてしまった。
悠海ちゃんが短大を卒業する日の写真と、コメントが載っていた。

今日は悠海ちゃんの短大卒業式
彼女は、この2年間、コミュニティの中で学び暮らして来た。『おふくろさん弁当』でバイトして、大学の帰りには鈴鹿カルチャーステーションに寄って勉強したり居眠りしたり、弘子さん照子さん佳子さんなどいろんなお宅でご飯をご馳走になり、今日の髪結いも街の美容室の純奈ちゃんが、着付けは茶道教室の弘子さんが買って出てくれた。
四月からは就職し、栄養士として子ども達に、ご飯を作る。数キロ離れた所に住むけど、これからもコミュニティで見守っていきたい。

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あれから、10年。
もうすぐ悠海ちゃんは4児の母になる。
今は、コミュニティの乳幼児たちが育ち学ぶ場・チェリッシュの一役をやっている。
それだけでなく、各種ミーティングを設けたり、青年たちのお姉さん役をしたり、その場に悠海ちゃんが居るだけで、なにやら和んでしまう、和気藹々(わきあいあい)の語らいが広がっていく。

鈴鹿コミュニティで、【サイエンズアカデミー】が始まったのは今から4年前、2018年4月のこと。18歳から40歳までの青年たちに、その門戸を開いた。
ただし、その準備期間というか、前段階として、“サイエンズ留学”という場を3年弱用意していた。2015年7月4日から韓国と日本の青年2人でスタート、延べ50人ほどが集って、コミュニティを体験した。
悠海ちゃんが、青年としてコミュニティに来たのは、その“サイエンズ留学”が始まる5年ほど前ということになる。

ブラジルの青年Diegoが、やって来たのは2017年2月。
1年2か月、留学生として学び、その後3年間アカデミー生として学んだ。
彼は、明後日3月31日に5年ぶりにブラジルに帰る。彼を送り出してくれたブラジルのコミュニティのもとへ。
「Scienz Academy」 次の社会を創る人が育つ
片言の日本語しか話せず、周りからバカに見られないようにと背伸びしたり、お弁当屋さんは流れ作業で、あれはチャップリンのモダンタイムスと一緒だ、人間のやる仕事じゃないと批判するところから始まった彼の5年間、昨晩送別の会食をしたが、とにかく近くなったな~、回りから愛されてるなあ、抵抗するものがない気楽な相棒にお互い成ってきたなあ、そんな印象を持った。
どんな一歩をブラジルで踏み出していけるだろうか。
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昨年の秋から冬にかけて、アカデミーには、航平君、静香ちゃん、理恵ちゃん、梓ちゃんの4人が新たに加わり、渡航制限の解除で待望のジョンインも韓国から合流、そしてこの3月で直絵ちゃん、彩ちゃんの二人が出発する。

自分のやらなきゃ、やりたいを聴いて応えてくれる人
固くて重いものでも砕こうとしない、壊そうとしない
そのまま丸ごと受けてくれる柔らかさ
その人の中につるっと入って
いつの間にか自分が、人が、というのも溶けていく
その人を通して広く人の中に深く溶け込んでいくような感覚
大きなものにおさまっていく安心


出発の発表会で二人からは、ずっと大きな懐に抱かれて、安心のなかで暮らしてきた実感が伝わってきた。コミュニティペアレンツを始め、本当に彼女たちを、丸ごと聴いてくれる人、受け容れてくれる人が彼方此方(あちらこちら)に実在していたんだなと思う。
こうしなくちゃいけない、こうあらねばならない、そういった捉われやキメツケから、どんどん解放されていく。これだけは言えない、そんなことは知られたくないと自分の中で頑なに握りしめていたことも、いつの間にか緩んでオープンに、何でも軽く出せる人に成って自らを開放していく。そうしたら、むくむくっと本心が顔を覗かせてくる。
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3月24日~28日には、ユネスコ認証教育プログラムGaia Youth が鈴鹿で開かれて、アカデミー生もそのスタッフに入った。20歳から27歳までの参加者に、スタッフに入ったアカデミー生・たっきーの心境。

どんな人とも、溶け合える。
誰とでも通じ合える。

そんな人になりたい。

そして、明るく照らせる人に。
その人といたら、本心が丸見えに。
気にしてたことが、バカみたいになったり。

そんな人になりたい。

みんなの話を聞きながら、そんな思いが出てきた。

一緒に過ごしてきた4日間。
素直さに、純粋さに何度も何度も心が温かくなる。
みんな、ポカポカ浸かってる。

ツアーでアカデミー生との交流。
みんなに紹介したかった、僕の兄弟たちだな。

明日で最終日。
ここから、みんなの新しい出発。
1人1人に、何かが湧いてくる。

こういうのって、種まきだなって思った。
その人の中に眠っているものが、にょきにょき出てくる。
いつ、芽が出るかはわからないけど。
種まきというよりは、水やりか?

暖かい、暖かいって言ってる参加者がいた。
何を感じてるんだろう。

鈴鹿での試み。
そうちゃんが言ってたみたいに、今までの人類史上、成し得なかったことを、今ここでやろうとしている。
ここの気風に触れて、今までにないものを感じて、それぞれの中が変化していく。
たった5日間だけど、ぐーっと進んでいくような。



これまで、コミュニティがアカデミーという場を用意してきた。
コミュニティのメンバーが、アカデミー生を包んできた。
それは、これからも変わらないだろうが、今、新しい流れが生まれつつある。
アカデミー生自身が、アカデミーという場を作り、
アカデミー生たちが、新しいアカデミー生を生み出し、包んでいく。

4月8日には、韓国から新たに4人の若者たち、ダジョン、スジョン、ミンジュ、スルギがアカデミーに入学してくる。
その後、日本からも世界からも続々と・・・

“溶け合える人” に、成っていく。
“迎えられる人”に、成り合っていく。
アカデミーの本領発揮。
5年目を迎えようとする今、その水口(みなくち)が切られた。
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