自律性の育て方
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個々人の自由に任せると社会が成り立たないというのは本当だろうか。アズワン・コミュニティはその「常識」に対して、根性論や行動の強制、思想の「矯正」ではなく、培ってきた実践的な知恵で反逆している。個々人によるそれぞれの観察と吟味、そしてその観察と吟味が日常的に身につくための仕組み、その効果がコミュニティに自律的な好循環をもたらすための仕組み。
畑でいうならば、大量の肥料を入れ続けてもたすのではなく、その土地に対してほどよい量以上取らず、肥料ではなく土壌の健全な菌体系が整っていくことをサポートするようなあり方と似ているかもしれない。菌体系は自律的に育つ傾向性をもっている。それにあわせ必要なサポートをする。このとき、自分がやらねば何も進まないという自分の苦労意識の蓄積はなく、見事に自分で整っていってくれる畑への感謝と自律性への信頼が生まれる。自律性への信頼が強まれば強まるほど、心は楽になり、エネルギーは満たれされていく。
しかしこれは放任ではない。この自律性が最大限に発揮されるためには、厳然たる枠組みが用意されている。いささかの妥協もなく調整され動的に維持される枠組み。それは表面的には見えないし、働きかけはないようにさえ思える。労働時間は少ないかもしれないが、しかしその枠組みはちょっとしたことでずれ、別の効果をもたらすものになる。それを許さない。土壌の菌体系のように目には見えない実際の関係性のありよう、流れ、動き、生態をとらえ調整する。その動的な理解が明確な意志としてアズワン・コミュニティの基盤にそえられている。
そこにある目に見えない自律性をどのように育てるか。自意識ではなく、自意識にとっては他者である自律性が人をそしてその周りを質的に変えていく。その自律性の生かし方が全てなのだと思う。