11月12日2日目。全体会に分科会B3のパネラーが登壇
◆「ローカル経済」のモデルを世界へ発信!
「グローバルからローカルへ」「Local is beautiful」を合言葉に「『しあわせの経済』世界フォーラム2017」が11月11日、12日に東京で開催されました。国内外から環境活動家や思想家が集い、地球の未来について語り、学び合った2日間です。フォーラムは「ローカリゼーションの動きを世界に広めよう」と2012年に米国で初めて開かれ、以後、インド、韓国、イタリアなどで実施され、今回初の日本開催となります。
つまり、ローカルへの流れを創ることで、グローバル化された経済に歯止めをかけ、世界の貧困、格差、気候変動など様々な問題を解決していこうとしているのです。
私たちは、今の社会で暮らしていますが、そこに生きずらさがありながらも、世の中はこんなものだと諦めていないでしょうか。その一方で、自分の足元から、なんとか住みよい地域社会にしていこうという活動があちこちで起こっています。
例えば、日本各地で、スローライフ、地産地消、里山資本主義、パーマカルチャー、トランジションなどをキーワードに、若者もシニア世代も、団体やグループを作り、つながりながら、各々思い思いに動き出しているのです。
そういった人たちが今回の世界フォーラムに集結しました。同じ思いの人たちが一堂に会したことは、横の連携と新たなつながりを産み、力が一段と結集したのではないでしょうか。
◆地域はどう変わったか?
分科会会場で
さて、フォーラム2日目は、明治学院大学を会場に12の分科会があり、〈B-3〉会場では「都市とローカリゼーション~日本のローカリゼーションを実際やってみて地域はどう変わったか」をテーマに、その発表がありました。
最初に、
NPOトランジション・ジャパン代表理事の吉田俊郎さんが登壇し、その全体像を紹介。
「石油資源に依存しないで、等身大で持続可能なシステムへ〝移行〟していこうという活動です。しなやかで強い力、助け合いで復活する〈レジリエンス〉(復元力)を高めていこうと、3つのH、head(知恵)、heart (心)、hand(実践)のバランスを大事にし、エネルギーの自給も目指しています。世界50カ国、2000地域、10年に及ぶ社会実験中なのです。横の連携が心地よく、常に学び続けるグループです。日本では60地域以上で展開中。」
えこびれっじネット日本GEN-Japanの片山弘子さん
「渡り鳥にはリーダーがいません。みんなが協力して遙か遠くの地へ移動していきます。野生が持っているそんな知恵や力を人間も本来持っていて、その能力を引き出し、知性と科学によって開発していく教育プログラムが『ガイアエデュケーション』です。」
ガイアエデュケーションに参加した大学生
「世界を変革していくために技術や力が必要と思っていましたが、弱くていいと気づいた。むしろ弱くないと出来ないと。そして、私はあなた、あなたは私という、私とあなたの境界線がわからなくなる体験をしました。技術や力を求めることよりも自分の生き方が大事だと気付きました」
◆脱❝お金がないと幸せになれない?❞
トランジション・タウン藤野の小山宮佳江さん
「神奈川県にあり自然の豊かなところです。芸術の街とも言われアーティストが移住してきたり、イベントも盛んです。〝やりたい人が、やりたい時に、やりたいことを、やりたいだけやる〟という活動で、楽しいから持続するというワクワクした活動になっています。その一つに地域通貨「よろず屋」があります。お金がないと幸せになれないという依存を脱し、ここでは、人のネットワークのためのコミュニケーションツールとして物や気持ちのやりとりをしています。」
トランジション・タウン浜松の大村淳さん
「浜松は家族みたいに暮らしています。耕作放棄地をフォレストガーデンにしよう!食べられる森を作ろうと活動しています。パーマカルチャー教育もスタートしました。公立中学から、持続可能な社会を創るための教育を頼まれたのです、自然と人と分かち合いをベースにしたパーマカルチャースクールにしようとか、学校の中にどんな豊かさがあるか、観察し、どう使うかデザインしてみようとか。最初は未来に不安を感じていた生徒たちが、ワクワクする未来へと変わってきました。」
トランジション・タウン鈴鹿/アズワンネットワークの小野雅司さん
「ジョンレノンの『イマジン』で歌われている世界、国境も争いもない一つの世界を実際にクリエイトしてみたいと鈴鹿で2001年から始まりました。まずゼロから見直す研究から始めたのです。頭に沁み込んでしまったグローバリゼーションの価値観から解放し、本来の姿を明らかにし実現するというサイエンズメソッドという方式を開発しました。次に、〝自分を教育し直す〟教育機関を創った。そして17年間の試行錯誤の末、心からの話し合いが出来ることで人間らしいコミュニティが創られてきています。最近では日本各地で会社やシェアハウスなどの運営を、サイエンズメソッドによってされるようになってきました。」
◆ローカルだから実現できる
3つの事例紹介後、吉田俊郎さんのコメント
「気候変動の脅威で始まった活動ですが、自分の地域をもっと楽しく住みやすくしたいと変わってきました。地域が楽し過ぎて他に出かけないほどです。こういう会場にもこないんです。どんどん活発になっています。
あるいは、アズワンのように17年かかって、家族のような関係が出来たり、会社も規則や社長のない会社が出来てきたり、お金から離れるような生活やお金のことを気にしない暮らしが出来たりと、そんなことが可能なんですよね。日本全体をそうするのは難しいですが、地域に狭めれば可能なんだなと分かったというか、簡単ではないですが、実際にやっているのが分かって、夢と希望が見えてきたんじゃないかなと思うです。」
ジャン・ランインさん(IRRC学院長、中国)
「中国でも都市部から田舎へ移り住む若者の動きがあります。自然と共生し環境にやさしい暮らしを求めているのです。元々農村にある知恵を現代社会に活かすことが必要でしょう。アズワンの活動は、昔、東アジアにあった人間関係が実践されているようで懐かしく感じました。」
◆人と人が繋がり直すこと
「どうやったら地域にそんな拠点が出来ていくのですか?」という会場からの質問に、
「何か形を作ろうとするよりも、人と人のつながりを作っていくことが大事で、その結果、形も出来ていく」と大村さんが答えていました。
実は、ローカリゼーションの活動とは、まさにその人と人のつながりを取り戻していくこと。その末には、お金に依存しない経済や、安心で豊かな地域社会が実現していくということで、それは、楽しくて、止められないことなのです。
言い換えれば、人がどう生きているのか、生きていくのか、そこに自然と現われてくるその人の生き方があります。その生き方がローカリゼーションになっているのかどうか。身近な人たちと、仲間たちとの間で、その関係性が持続可能なものになっているでしょうか?と問われているようです。
分科会を終えて全体会に集まった。フィナーレで
世界の各地から、日本各地から集ったフォーラムは大盛況で幕を閉じました。これからいっそうこの波は加速していきそう?ではなく、ゆっくりゆったり世界に広く深く浸透していくでしょう!(取材:いわた)
◆ローカリゼーションの流れを私たちの街に!
「しあわせの経済世界フォーラムin東京」開催から、ローカリゼーションへの流れが一層高まっています。フォーラム分科会にも登壇したアズワン鈴鹿コミュニティとガイアエデュケーションもその流れに乗って、今度は京都と鈴鹿で、ドイツのEkhart Hahn博士によるサスティナブル最新事情とコラボレートします。この出会いは、更なるムーブメントになっていくでしょう。ここから、この場から「持続可能な社会」が創られていくはずです。その波に乗ってみませんか!?
◆12/2@京都「【ないのなら創ってみよう】自分たちの循環する地域社会」
◆12/3@鈴鹿「自分達でつくる自分達の持続可能な社会」
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